消えない二十一人目

最終面接の参加者は、候補者の私を含めて二十人のはずだった。

だが画面左上には「21」と出ている。最後の一枠は、黒いタイルに「guest-21」とだけ表示され、最初から一度も発言しない。

新規事業部長は気に留めず、私に架空商品の販売計画を説明させた。十五分かけて話し終えると、部長は薄く笑った。

「発想は面白い。ただ、情報管理への意識が弱いですね。今も部外者が入っています」

空気が凍った。

「候補者が面接リンクを転送した可能性もあります」

私は否定したが、人事担当は困った顔で首を振った。採否を決める場で疑われれば、それだけで終わる。

そこで私は、開始前に保存していた待機室の表示を共有した。guest-21の横には「主催者によって許可」とある。

「私は入室を許可できません。許可した時刻を確認してください」

人事担当が管理画面を開く。許可は十三時五十八分。私は十四時ちょうどまで待機室にいた。

部長は咳払いした。

「自動承認だろう」

「この会議は自動承認を無効にしています」

さらに招待履歴が表示された。元の予定を外部アドレスへ転送したのは、部長のアカウント。転送先のドメインを見た人事担当の顔色が変わった。競合会社の採用支援子会社だった。

guest-21が退出しようとした瞬間、私はもう一つ示した。面接用の共有ファイルが、私の説明中に同じ外部アドレスから開かれている。閲覧時刻は十四時十七分。ちょうど私が価格戦略を説明していた時刻だ。

部長は「市場調査の協力者だ」と言い張ったが、人事担当は会議を録画していた。外部共有は申請されていない。しかも私に情報管理の欠如を指摘した直後の発言まで、すべて残っている。

招待メールのCCには、競合側の担当者だけでなく、部長の個人口座を管理する税理士事務所まで入っていた。私の案を渡した対価を「調査協力費」として処理する予定だったらしい。予定表の添付見積書には、今日の日付と私の応募番号が記されていた。

人事担当は採否欄を開き、さきほど入力した「見送り」を削除した。

「判断を訂正します」

部長が安堵しかける。

「採用するのは候補者です。選考から外れるのは、あなたです」