七つ目の拍手

闘技場の砂に六つ目の鐘が鳴り、ザルヴェンの胸骨の裏へ真鍮の鱗が一枚増えた。

倒れた騎士を担架が運び去る。観客席では、鎖につながれた村人たちが声もなく彼を見つめていた。七人抜けば全員を解放する。それが領主の宣言だった。

「次で終わりよ」

鉄格子の向こうからノエナが言った。幼いころ剣を教えた女であり、彼を人殺しにしないため何度も木剣で叩いた人だった。

ザルヴェンの能力は単純だった。公の場で勝利を認められるたび、次の戦いに必要な強さを得る。その代わり、胸の内の感情が一つ、真鍮の鱗に置き換わる。

一勝目で恐怖を失った。二勝目で恥を。三勝目で憐れみを。四勝目で喜びを。五勝目で悲しみを。六勝目で怒りを失った。

残っているものを、彼は確かめるようにノエナを見た。会えば胸が痛む。まだ愛だけはある。

七人目が門から出てきた。兜を外した顔を見て、観客がどよめく。

ノエナと同じ顔だった。

領主が笑う。「本物か偽物か、斬れば分かる」

鉄格子のノエナが首を振った。砂上のノエナは剣を捨て、両腕を広げた。

「私は本物よ。格子のあれが魔物」

かつてなら迷った。だが迷いは感情ではなく、残った愛が作る痛みだった。ザルヴェンは砂上の女の足元を見た。夕陽の中で、影がない。

一歩で間合いを詰め、心臓を貫いた。女の顔が裂け、内側から細い触手が溢れる。観客が立ち上がった。

七つ目の鐘。七つ目の勝利。

胸の痛みが、澄んだ金属音へ変わった。

領主は約束どおり格子を開けた。ノエナが走り寄り、血のついた彼の頬を両手で包む。

「よく見破ったね」

ザルヴェンは彼女を見た。誰であるかは覚えている。救うために七人を倒したことも理解している。ただ、抱きしめ返す理由だけがなかった。

「解放は成立した。離れてくれ」

ノエナの指が震えた。

観客の拍手が降り注ぐたび、彼の胸から同じ音が返った。鎧を外すと、心臓のあるはずの場所に七枚の真鍮鱗が重なり、拍手する二つの手の形を作っていた。

その中央には、もう脈がなかった。