七本目の爪
焼けた草の上で、ジーヴは自分の左手を右足で踏みつけていた。
「早く切れ、モルカ」
指はすでに七本に裂け、一本ずつ鎌のような爪を伸ばしている。背後では倒した獣の腹がまだ脈打っていた。返り血を浴びた者は、夜が来るまでに同じ獣になる。
モルカは短剣を火で焼いた。治療師から聞いた規則は単純だった。生えた爪を根元から落とせば、人の形へ戻る。ただし切った者の指に、爪が抱えていた飢えが移る。
一本目を切る。ジーヴが叫び、モルカの親指が痺れた。
二本目。人差し指の爪が黒くなる。
三本目を落としたとき、血の匂いが焼き肉のように甘く感じられた。モルカは舌を噛み、短剣を握り直した。その手は、以前ジーヴを谷から引き上げ、凍えた夜には火種を守り、酔いつぶれた彼の額へ毛布を掛けた手だった。一本ずつ別のものへ変わるのを、ジーヴも黙って見ていた。その掌の皺まで、戦友として過ごした年月だった。
「もういい」
ジーヴは汗に濡れた顔で笑った。「五本残せば、剣くらい持てる」
「七本の指でか」
「見世物にはなる」
冗談の声に牙が混じった。モルカは四本目、五本目を続けて切った。自分の中指と薬指が、柄の革を裂くほど硬く曲がる。六本目では、倒れた敵兵の喉へ視線が吸いついた。まだ温かい。噛めばきっと——。
「俺を見ろ」
ジーヴの声で戻った。残る一本は掌の中央から生え、心臓と同じ速さで脈打っていた。
「それを切れば、おまえの手は戻らない」
モルカは短剣を持つ指を見た。すでに人の関節ではない。七本目を受け入れれば、二度と誰かの肩を普通には叩けないだろう。
「手で済むなら安い」
刃を振り下ろした。
黒い爪が地面へ刺さり、ジーヴの全身から獣毛が一息に抜け落ちた。彼は人の五本指を開き、泣きそうな顔で確かめる。
モルカは背を向けた。短剣が掌から落ちる。拾おうとした七本の指が、刃ではなく、その下を這う負傷兵の匂いへ伸びた。
「モルカ」
呼ばれて振り返った口の中には、いつの間にか、人を裂くための歯が一列増えていた。