収穫祭の翌日に届いた赤紙

収穫祭の翌朝、オルディス伯爵家の正門に赤い封書が貼られた。

領地税、納付期限超過。三日以内に支払われなければ、東の葡萄畑を差し押さえる。

長男ローディクは、封書を破り捨てた。

「金ならある。昨日の祭りで金貨を千枚使えたのだぞ」

執事が青ざめて帳簿を開く。金庫に残っていたのは、婚礼用宝石の購入証書と、まだ現金化できない小麦の売掛証文だけだった。税は豊作量ではなく、毎年同じ日に現金で納める。そのため次女ベリオットは、売上の一部を祭りの予算から外し、触れない箱へ移していた。

だが彼女は前日、「家の栄光を数字で曇らせる陰気者」として勘当された。ローディクは封印箱を開け、花火と無料の酒へ使い切っていた。

税務官は午後、測量士を連れて戻った。祭りの飾りが残る門をくぐり、葡萄畑へ赤い杭を打つ。招待客たちは帰りの馬車から、その光景を見ていた。

赤い杭が打たれた葡萄畑は、伯爵家で最も利益を生む土地だった。一本目が沈むたび、昨日まで酒を振る舞われていた商人たちが目を逸らす。期限を守れない家へ掛け売りはできないと、三つの取引先がその場で契約を取り下げた。

公爵夫人は宝石を売ればよいと言ったが、鑑定と買い手探しには日数がかかる。税務官が必要としているのは、価値の説明ではなく、期限内の現金だった。

一方ベリオットは、川向こうの孤児院で新しい帳簿を閉じたところだった。補助金の申請期限を一日早く見つけ、冬の薪代を確保したのだ。

さらに、食材商への支払い日を補助金の入金後へ組み替えたため、子どもたちの夕食を減らす必要もなくなった。院長だけでなく厨房係まで、初めて先の月を怖がらず献立を決められた。

院長は古びた銀の鍵を彼女へ渡した。

「金庫を守る人ではなく、子どもたちの冬を守る人に持っていてほしい」

そこへ実家の馬車が泥を跳ね上げて止まった。ローディクは周囲も憚らず命じる。

「家名を戻してやる。今すぐ帰って税務官を黙らせろ」

ベリオットは勘当状を折り直し、孤児院の帳簿に挟んだ。

「家名を返していただく必要はありません。勘当の日に、会計管理の契約も終了しました」