実った分だけ

北丘村では、実のならない木にも税がかかった。

 梨の木一本につき銀粒一つ。春の霜で花が全滅しても、枯れて切り株になっても、台帳に木と書かれている限り同じだった。

 その年、果樹園主の娘リディアは、父の葬儀より先に徴税人から木の本数を尋ねられた。

「百二十一本です。ただし、実ったのは二十七本」

「税は百二十一本分だ」

「では、来年は零本です」

 彼女が斧へ手を伸ばすと、周りの農家も黙ってうなずいた。木を全部切れば、税だけは消える。村から梨も仕事も消えるが、冬を越すにはそれしかない。

 新領主バルドは斧の前に立ち、古い台帳を閉じた。

「木の数を数える税は、今日で終わりだ」

 彼は集会所に三色の石を並べた。白は自家用、青は翌年の苗と種、赤は出荷分。

「白と青には課税しない。赤い箱に入った出荷籠十二個につき、一個分の代金を納めてもらう。凶作なら税も減る。集まった金の半分は霜よけ燻し壺、残り半分は共同苗床に使う。箱の石は誰でも数えていい」

 豪農が腕を組んだ。

「豊作の家ほど多く払うのか」

「実った家ほど、道と苗床を多く使える。率は全員同じだ」

「領主の取り分は?」

「十二分の一の中に含まれる。あとから追加はしない」

 その一言で、広場の空気が変わった。去年は『臨時』の名で三度も取り立てが来たからだ。

 リディアは斧を置いた。冷え込んだ夜には、共同購入した燻し壺が丘へ並んだ。どの園へ何個貸したかも石で示され、声の大きな家が先に取ることはなかった。

「共同苗床の番を、うちが引き受けます」

 隣の農家は霜よけの藁を出すと言い、鍛冶屋は燻し壺の脚を無償で直すと言った。命令書は一枚も出ていない。来年の実りが自分だけのものではなく、村全体の税を軽くすると理解したのだ。

 秋、リディアの梨は四十三籠採れた。白と青を先に除き、赤い石を三十六個、透明な箱へ入れる。徴税係は三個分だけ受け取り、残りを彼女へ返した。

 その日、共同苗床の門に最初の木札が打たれた。

『枯れ木には課さず、実りを皆で守る』

 札の下で、春に接いだ若木が一枚だけ、新しい葉を開いていた。