家事分担表_臨時版
家事分担表――臨時版
【月曜日・祝部家ホワイトボード】
父
夕食、洗濯、風呂掃除。
母
出張。
長女
受験勉強。
次男
部活。
末っ子
生存。
【午後十時四十分・追記】
父、ソファで睡眠。
ネクタイ着用のまま。
夕食の皿、流し台に七枚。
洗濯物、洗濯機内で待機中。
風呂、まだ海。
長女、家族会議を招集。
【臨時分担】
長女――皿洗い。
次男――洗濯物を干す。
末っ子――風呂掃除。
父――起こさない。
【午後十一時十分】
長女、油汚れに敗北しかける。
次男、姉の白いブラウスと赤い靴下を同時に発見し、緊急分離。
末っ子、洗剤を一本使おうとして拘束される。
父、一度起きる。
「ごめん、すぐやる」
三名、声をそろえて拒否。
【火曜日・朝】
皿、清潔。
洗濯物、形は不ぞろいだが乾燥中。
風呂、洗剤を流し忘れ、泡風呂になった。
父、朝食を作ろうとするが、長女に椅子へ戻される。
末っ子、食パンへチーズを載せる。
次男、コーヒーを入れる。
長女、父の弁当へ昨夜の残りを詰める。
父、弁当箱を見て泣きそうになる。
末っ子、「玉ねぎ入ってないよ」と指摘。
理由不明として処理。
【水曜日】
父の帰宅前に、分担完了。
長女――夕食。
次男――洗濯。
末っ子――玄関の靴を並べる。
父――食べる、風呂に入る、寝る。
父、異議申立て。
〈みんなも忙しいだろ〉
長女、回答。
〈忙しい人が四人いるなら、家事も四つに割れる〉
【金曜日】
母、出張から帰宅。
家の状態を見て、「私がいないほうが整ってない?」と発言。
全員、否定。
父は疲れていたことを認めた。
長女は受験勉強を一時間減らしたが、気持ちは軽くなったと言った。
次男は洗濯表示を三つ覚えた。
末っ子は洗剤の適量をまだ覚えていない。
【正式決定】
旧分担
母と父が、できるほうをやる。
子どもは頼まれたら手伝う。
新分担
気づいた人が一つやる。
疲れている人は、申告しなくても座らせる。
失敗した家事は、怒る前に全員で直す。
ホワイトボードの一番下に、父が小さく書いた。
〈今週、いちばん助かった家事――起こさないでくれたこと〉
その横へ、末っ子が丸をつけた。
〈担当者、家族全員〉