瓶詰めの星が止まる夜

炭酸飲料工場の夜勤で、瓶詰めラインが二十一分止まった。透明な瓶が入口に団子のように詰まり、割れた一本から甘い匂いが広がっている。出荷は午前四時。班長は砥上慶司に言った。

「トルクリミッターを上げよう。力が足りないだけだ」

慶司は床の停止ボタンを押したまま、詰まった瓶を一本ずつ抜いた。瓶を送る星形のスターホイールには十二のくぼみがある。割れた瓶の擦り傷を並べると、十二本ごとに同じ高さの白い線が付いていた。

「力を上げたら、十二本ごとに砕けます」

彼はホイールを手で回した。十一のくぼみは滑らかだったが、一つだけ入口で瓶の肩を押した。昼勤が破損瓶を除いた際、ガラス片を噛んだまま回転し、樹脂製の案内片がわずかに内側へ変形していたのだ。

班長は案内片を削ろうとした。慶司は止めた。削れば今夜は通っても、瓶の位置がずれ、次の栓締めで口が欠ける。割れたガラスが飲料に混じれば、納期の問題ではなくなる。

予備品倉庫に同型の案内片はなかった。慶司は廃止済みの小瓶ラインを見に行き、同じ材質の部品を見つけた。穴位置だけが違う。現場で穴を増やさず、金具側を組み替えれば元に戻せると判断し、班長に二十分の延長停止を申告した。

交換作業の間、慶司は停止前に通過した三百本を出荷列から外させた。瓶が割れてから機械が止まるまでの数秒に、細かな破片が隣の瓶へ付いた可能性がある。班長は外観検査で済ませたがったが、慶司は洗浄工程へ戻す札を貼った。二十分を取り戻すために、回収事故を作るわけにはいかなかった。

交換後、光電センサーの前へ空瓶を一本ずつ流した。十二本、二十四本、三十六本。瓶は同じ間隔で並び、一本も触れ合わない。班長は上げかけていたトルクリミッターの設定を元へ戻した。

午前三時五十六分、最初の箱が出荷口へ滑っていった。慶司が割れた瓶の記録を書き始めると、背後で別の警報が鳴った。今度は缶ラインの蓋が裏返っている。甘い匂いの上に、金属の乾いた音が重なった。