白いテーブルの外側

菫は洗濯機の終了音を聞きながら、床に座ってスマートフォンを見ていた。

画面には、白いテーブルを囲む四人の友人がいた。淡い色の皿、丸いケーキ、窓から差す午後の光。〈久しぶりの集合! 話が尽きない〉と書かれている。四人とも大学時代のサークル仲間で、菫も以前はそこにいた。

誘われなかった、という言葉は正確ではない。先月グループチャットに候補日が流れたとき、菫は繁忙期で、返信を後回しにした。三日後に見たときには日程が決まっていて、その日は出勤だった。〈また次回ぜひ〉と送ったスタンプに、みんながハートをつけた。

だから誰も悪くない。悪くない出来事ほど、寂しさの置き場がない。

テーブルの隅には、菫が好きだった苺のタルトが写っていた。以前なら「私の分も食べた?」と冗談を送れた。今日はコメント欄を開いて閉じた。楽しそうな顔の数を数えるほど、自分の部屋の蛍光灯が白くなっていく。

洗濯機がもう一度、取り出し忘れを知らせた。菫は立ち上がった。ふたを開けると、湿った空気と柔軟剤の匂いが上がる。白いシャツ、灰色の靴下、紺のタオル。映えるものは一つもない。

シャツをハンガーに掛けながら、写真の白いテーブルを思い出す。四人の時間は、菫がいないから成立したのではない。ただ菫のいない日に、四人が会っただけだ。そう言い換えても、胸の細い痛みはなくならない。それでも、痛みを自分の欠陥にしなくて済む気がした。

冷蔵庫から昨夜のポテトサラダを出した。容器の端が少し乾いている。箸で形を整えようとして、やめた。誰にも見せない夕食なのだから、崩れたままでいい。

菫はSNSに戻り、写真にハートを押した。コメントは書かなかった。明るく振る舞える文章を作るより、洗濯物を干すほうを選んだ。

最後のタオルを竿に掛けると、部屋の中に小さな白い列ができた。写真のテーブルには入れなかったけれど、今夜の自分には、乾く場所がある。

今日はそれでいい、と菫はポテトサラダのふたを膝の横に置いた。