給食残量観察記録
【四月十二日】
一年三組、給食残量。
ご飯二・四キログラム。
野菜炒め一・一キログラム。
牛乳七本。
担任より「残さず食べよう」と指導。
昼休み終了後も四名が着席。
【四月十五日】
同様の指導。
一名、食べきれず涙。
本人は治療後で食欲に波があり、量を減らしてほしいと言い出せなかったとのこと。
給食委員会で協議。
【四月十八日】
新方式を試行。
配膳時、最初は全員少なめ。
食べられる人は、配膳台から自由におかわり。
苦手な料理は、一口分から選択可能。
量を減らした理由は尋ねない。
掲示文。
〈少なく取るのは、ずるではありません。
食べきれる量を考えることも、食べ物を大事にする方法です〉
【四月十九日】
残量。
ご飯〇・九キログラム。
野菜炒め〇・四キログラム。
牛乳三本。
おかわり希望者が集中し、配膳係が混乱。
列を二本に分ける。
【四月二十五日】
食欲に波のある生徒が、自分から「今日はご飯を半分」と申告。
隣の生徒も「午後に体育があるから多め」と申告。
量の違いを笑う者なし。
担任は「全員同じ量が公平」と考えていたが、撤回。
「必要な量を選べるほうが公平」と記録。
【五月九日】
人気のカレー。
最初から山盛りにしようとする生徒多数。
給食委員が制止。
「一杯目は普通。二杯目で夢をかなえてください」
笑い発生。
おかわり三巡。
残量、鍋底に一皿分のみ。
最後の一皿は、希望者五名で小分け。
じゃんけん不要。
【六月二十日】
残量平均、試行前の三分の一。
食べる速度を競う者が出たため、新たな注意を追加。
〈早く食べる必要はありません。
苦しくなる前に止めてください。
残りそうなら、食べ始める前に量を調整しましょう〉
【七月十九日】
終業式。
食欲に波のある生徒が、給食委員へ手紙を渡す。
〈残さなかった日より、「少なくしてください」と言えた日がうれしかったです。
自分の体のことを、わがままだと思わなくなりました〉
【最終所見】
食べ残しは減った。
しかし最も大きな変化は、空になった食缶ではない。
食べられる量は人によって違うと知り、互いの皿を勝手に評価しなくなったこと。
食べ物への親切は、食べる人への親切と分けて考えられない。