表裏の制服

宝石が消えた展示室には、昼の案内係と夜の警備員がいた。

二人は別々に、清掃員が怪しいと証言した。案内係は午後四時、清掃員が展示台の裏へ手を伸ばすのを見たという。警備員は午後十時、同じ清掃員が非常口から出るのを止めたという。制服も勤務表も違い、案内係は背筋の伸びた若者、警備員は肩を丸めた年配者だった。

だが、案内係のロッカーには柑橘系の靴墨があり、警備員の手袋にも同じ匂いが残っていた。もう一つ、二人とも説明の途中で必ず右の靴底を床へ二度こすった。癖を指摘すると、館長は「長時間立つ仕事だから」と片づけた。

清掃員は涙ながらに否定した。午後四時には案内係から展示台を磨くよう命じられ、午後十時には警備員から非常口のごみを運ぶよう命じられたという。二人から渡された指示票は書体こそ違ったが、紙の左端に同じ半円の爪痕が付いていた。館長は「二人とも紙を強くつまむ癖があるのだろう」と言った。

防犯映像では、案内係が四時十二分に職員通路へ入り、警備員が四時十四分に反対側から出てくる。二分では着替えられない、と誰もが言った。しかし通路の中央には、カメラから外れた衣装保管室がある。盗まれた王冠の複製を作るため、かつて舞台衣装の展示に使われた部屋だ。

王冠が消えた箱には、案内係の指紋も警備員の指紋もなかった。代わりに薄いゴム膜の破片があり、皺を描く化粧用品と同じ樹脂が検出された。誰かが一人分の手を、二種類の手袋で隠していた。

私は二人の人事書類を並べた。顔写真はまるで違う。だが写真の背景に映る身長計の目盛りは同じで、耳の輪郭も一致していた。勤務表には二人分の印があるのに、入館カードの履歴は一枚分しかない。

清掃員の逮捕が決まる直前、私は衣装保管室の壁を叩いた。薄い板の奥から、肩を盛る詰め物、皺を描く化粧道具、そして裏返すと案内係の上着になる警備服が落ちてきた。

案内係は出口で待っていた。背筋を曲げると、夜の警備員の声で言った。

「二人が同じ証言をすれば、信じると思ったのに」

表と裏に制服はあった。中にいたのは、いつも一人だった。