里親募集_写真は月に一枚

里親募集――写真は月に一枚

【里親募集掲示板・四月二日】

金魚二匹を引き取ってくださる方を探しています。

琉金の「小町」と、出目金の「夜市」です。七歳。

小さな鉢ではなく、今の水槽と飼育用品も一緒にお願いします。

条件は一つ。毎月一日に、写真を一枚送ってください。

――由良木千景

【応募メッセージ】

高校二年の榎戸黎司です。

祖父と二人暮らしで、飼育経験はありません。

でも祖父が最近、朝起きる理由がないと言います。

金魚の朝ごはん係にしてもいいでしょうか。

【四月三日】

いい係だと思います。

餌は、欲しがる顔に負けない量を。

【五月一日・添付写真】

祖父が水槽の前で正座しています。

二匹に「食べすぎは体に悪い」と説教中です。

自分は大福を三個食べました。

【六月一日】

夜市が、祖父の指を追うようになりました。

祖父は散歩の帰りに水草を買いました。

朝起きる理由は、今のところ二つになりました。

【八月一日】

千景さんから返事がなく、心配しています。

【八月四日・施設職員より】

由良木様は体調を崩されました。

ただ、届いた写真は毎回、枕元でご覧になっています。

「うちの子たちは元気」と繰り返されます。

【十一月一日】

小町が死にました。

最後の朝まで餌を食べ、祖父の指を追いました。

約束の写真を送るべきかわかりません。

空いた場所を写すのが怖いです。

【十一月三日・由良木千景】

送ってください。

【添付写真】

水槽の右半分に夜市。左半分には何もいない。

その前で、黎司の祖父が両手を膝に置いている。

【十一月五日】

空の場所も、その子がいた家です。

写真をありがとう。

小町を最後まで飼ってくださって、ありがとう。

私は二匹を手放した日、自分まで不要になった気がしていました。

でも写真を見るたび、手放すことと、捨てることは違うのだと知りました。

次の条件をお願いします。

毎月一日の写真に、あなたたちも写ってください。

【十二月一日・添付写真】

水槽の前に、黎司と祖父。

画面を開いたタブレットの中に、千景。

三人とも笑っておらず、撮り直しになった。

【十二月一日・二枚目】

夜市が尾を広げた瞬間、祖父がくしゃみをし、黎司が吹き出し、千景も笑っている。

【千景から】

今月は、家族が一匹減った写真ではありません。

見守る人が三人増えた写真です。

翌春、千景は施設の外出許可を取り、初めて榎戸家を訪ねた。夜市は彼女を覚えていたのか、水槽の端まで泳いできた。

千景は指を当てた。

「ただいま、とは言わないわ。ここはもう、あなたたちの家だもの」

黎司の祖父が椅子を引いた。

「では、いらっしゃい。朝起きる理由なら、まだ席があります」

その月の写真には、四人と一匹が写った。