風の入らない三畳間

北の製材村では、孤児のノノだけが冬になると礼拝堂の物置へ移された。孤児院を建てる金はない。そう言われ続け、窓の隙間から雪が吹き込むたび、彼女は藁束の陰へ潜った。

新任代官セシェルは、村で最も立派な建物が製材組合の集会所だと知った。二階は年に三度しか使われない。

「取り上げる気か」

組合長が身構える。

「買い取る。費用は木材税ではなく、売れた板材二十枚につき一枚を共同材として積む。凶作年は免除。誰が何枚出したか、役場と製材所の両方に掲示する。現金を選ぶ者は、その日の平均価格で一枚分。私の官舎を直す木材にも同じ率を掛ける」

隠れて値を変えられないよう、計算式まで板に刻んだ。共同材の用途は「孤児の住居」と「火災時の仮住まい」に限定し、別用途には住民三分の二の賛成が必要とした。

翌朝、一番けちな材木商が節の少ない板を一枚置いた。

「帳簿に良材と書け。余り物を押しつけたと思われたくない」

それが合図だった。大工は休日の半日を、鍛冶屋は蝶番を、老婆たちは古布を裂いて隙間風止めを持ち寄った。ノノも壁紙の糊を練った。自分の家を作る手から、彼女だけを外す者はいなかった。

修繕中、ノノは集会所を失う大人たちへ、階下の空き倉庫を会議室にする案を描いた。机を折り畳みにすれば、材木の検品にも使える。組合長は図を眺め、「住まわせてもらう子が遠慮する必要はない」と言いかけ、言い直した。

「住人の提案として採用する」

完成したのは三畳ほどの小部屋だった。豪華ではない。だが窓は二重で、床下に炭箱があり、鍵は内側からも掛けられる。隣室には成人の世話人が泊まるが、勝手に引き出しを開けないという規則も掲示された。

初雪の夜、セシェルは見回りに来た。ノノは布団から出ず、枕元の紙を指した。

「温度の記録。夜中も十二度より下がらなかった」

彼女は誇らしげだった。助けられた子の顔ではなく、検査を終えた住人の顔だった。

その瞬間、窓の外で風が唸った。

けれど新しいカーテンは、少しも揺れなかった。