十三月には名を呼んで

二十七年に一度、十二月のあとへ〈十三月〉が現れる。

暦外街の住人は、その三十日間だけ普通の世界へ出られる。

十三月が終われば、街も人々も暦の裏へ戻り、次に会えるのは二十七年後だった。

暦職人のスティラは、ずれた日付を直すため十三月へ派遣され、時計塔の番人マエオンと出会った。

彼は朝になるたび、町じゅうの時計を一日ずつ進める。

スティラは夜になるたび、消えかけた日付を帳面へ書き留める。

「一月一日になったら、あなたは?」

「暦の外へ戻る」

「次の十三月にも会える?」

「君が五十四歳なら」

「あなたは?」

「今日と同じ二十七歳」

二人は残り日数を数えないことにした。

市場で砂糖菓子を食べ、日付のない川へ舟を出し、時計塔の鐘が鳴るたび口づけた。

二十日目、マエオンは暦外街へ来ないかと誘った。

そこでは年を取らない。

ただし普通の世界の記録から、スティラの名も仕事も、弟の記憶からさえ消える。

「私がいなかったことになるの?」

「こちらでは、ずっと一緒にいられる」

「弟は、姉を失ったことにも気づけない」

「それが優しさかもしれない」

「忘れられる側が決めてはいけないよ」

二十八日目、スティラは彼を普通の世界へ連れ出す方法を見つけた。

十三月の最後の一日を、永遠に繰り返せばよい。

だが新年は来ず、作物も誕生日も、すべて同じ日へ閉じ込められる。

二人はその方法を燃やした。

三十日目、町の時計が二十三時五十九分を指した。

マエオンは鐘綱を握る。

「次に会うとき、君は僕より年上だ」

「会えればね」

「待っている」

「待たないで。二十七年を待つために使わないで」

「暦外街には、待つ以外の時間がない」

「なら、私を待つんじゃなく、あなたの町を生きて」

最後の鐘が鳴った。

マエオンの輪郭が数字のように薄くなる。

スティラは彼の名を何度も呼んだ。

名前は鐘の余韻へ混じり、十三月とともに消えた。

一月一日。

人々は新年を祝い、十三月のことを覚えていなかった。

スティラの帳面にも、十二月の次は一月としか書かれていない。

ただ余白に、知らない筆跡で一行だけ残っていた。

〈名を呼ばれた三十日間、私は暦の中にいた〉

スティラはその文字へ触れた。

二十七年後の予定は書かなかった。

期間の決まった恋を、次の再会までの空白にはしないために、彼女は新しい一年を一日ずつ生き始めた。