星一つから始まるレビュー
【預かり一日目 評価★】
入院のため、ウサギの木耳を預けました。
届いた写真で、こちらに尻を向けています。怒っているのでしょうか。
飼い主の藍浦毬子
【店舗からの返信】
木耳さんは牧草を食べながら休んでいます。背中を向けるのは、警戒がほどけている証拠でもあります。
怒っていると決めず、今日の木耳さんを一緒に見守ります。
【預かり十二日目 評価★★】
脳の手術後、左手が動きにくくなりました。
退院しても抱けないかもしれません。
木耳は抱っこが嫌いなので、困らないでしょうが。
【店舗からの返信】
木耳さんは、抱かれなくても毬子さんの足音で寄っていきました。
手の代わりになる挨拶を、これから探せます。
【預かり二十九日目 評価★★★】
送っていただいた動画をリハビリの先生に見せました。
私の声が流れた瞬間、耳が立ちました。
偶然だと思って三回再生しました。三回とも立ちました。
少しだけ、帰りたくなりました。
【預かり四十八日目 評価★★★★】
今日は右手で牧草を一本つまめました。
木耳が食べるには細すぎる一本です。
それでも先生が、写真を撮ってくれました。
【預かり七十一日目 評価なし】
退院日が決まりました。
迎えに行くのが怖いです。
忘れられていたら、星をいくつにすればよいでしょう。
【店舗からの返信】
忘れていたかどうかを採点しなくて大丈夫です。
七十一日前の暮らしへ戻るのではなく、今日から再会します。
迎えの日、木耳は毬子を見るなり駆け寄った――わけではない。途中で止まり、床の匂いを嗅ぎ、スタッフの靴を一周し、それからゆっくり毬子の車椅子へ来た。
毬子が動く右手を床へ置くと、木耳はその指に額を押しつけた。
以前と同じ抱き方はできなかった。
以前と同じ自分でもなかった。
けれど木耳は、不足している手を数えず、そこにある指へ挨拶した。
【退店後 評価★★★★★】
この店は、ペットを元の飼い主へ返す場所ではありませんでした。
変わってしまった二人が、初めて会い直すまで待ってくれる場所でした。
追記。
木耳はいま、私の左手のリハビリ用タオルを盗んでいます。
返す気はないようです。
星をもう一つ追加したいです。