曲がった釘が山を縫う

坑道の奥で、十八人が生き埋めになった。

見習い測量士のナディは、岩盤へ耳を当てた。三度、かすかな打音が返る。まだ生きている。だが救助坑を掘れば、天井を支える亀裂まで崩れる。親方たちは入口で黙り込み、誰も最初のつるはしを振れなかった。

ナディは腰袋から一本の釘を出した。

落盤を起こした岩喰い王を倒した際、討伐報酬として一度だけ回せた採掘ガチャ。その灰色カプセルから出た、曲がって赤錆びた釘だ。

【C:曲がった補修釘】

【緩んだものを元の位置へ留める】

「板一枚も打てそうにない」

親方は吐き捨てた。ナディもそう思った。けれど測量図の亀裂は、ばらばらの線ではない。もとは一枚だった岩盤が、重みで緩んでいるだけだ。

彼女は坑道の中央、三本の亀裂が交わる箇所へ釘を当てた。

槌を一度だけ振り下ろす。

甲高い音が山腹を走った。

釘は岩へ沈まず、逆に周囲の岩が釘へ引き寄せられた。ずれていた地層が低く唸りながら滑り、砕石が砂になって隙間を埋める。折れた支柱は木目を合わせ、離れていた梁と天井が噛み合った。崩落した岩塊まで左右へ整列し、人ひとりが通れるまっすぐな救助路を残した。

「今です!」

ナディが叫ぶより早く、親方たちは走った。

救助路の奥から、灯りが一つ、また一つと近づいた。先頭の鉱夫は負傷した仲間を背負い、それでも天井を恐れて何度も見上げている。ナディは測量杖で新しい岩の継ぎ目を叩いた。返った音は、親方が安全と判定するときの澄んだ響きだった。

「走らなくていい。山はもう閉じています」

その言葉で初めて、鉱夫たちは歩幅を緩めた。

十八人は全員、自分の足で出てきた。最後の鉱夫が陽光へ倒れ込むと、山の震えも止まった。救助路の天井では、曲がった釘だけが小さく残り、まるで巨大な縫い目の結び目のように光っている。

親方は泥だらけの帽子を脱ぎ、見習いへ深く頭を下げた。

ナディの視界に、採掘者なら誰も見たことのない紫金の通知が開く。

【世界で最初の地殻修復を確認――UR《大地縫合釘ガイア・ステッチ》へ真名解放】