灯台に十二の窓

嵐で漁船が三隻沈み、港町には十二人の子どもが残された。親類の家を転々とするうち、荷物は籠一つまで減り、誰もが「今月だけ」と言われるたびに黙って頷いた。

領主ガルドは、廃灯台の宿直棟を住居にすると提案した。すると漁師たちは反発した。

「海の子だけを港の金で養うのか」

「商人の孤児が出たらどうする」

ガルドは港の掲示板へ、短い規則を書いた。

一、船一隻ではなく、荷揚げした樽五十個につき銅貨一枚。

二、漁船も商船も同率。

三、集めた金の七割は住居、三割は将来の修繕。

四、入居は親の職業でなく、寝床の有無を住民三人が確認して決める。

五、帳簿は子どもでも読める字で毎週公開する。

異議があれば、港会議で子ども代表にも同じ一票を与える。

「俺の直営船も払う。今朝の二百樽で四枚だ」

ガルドが先に硬貨を箱へ落とすと、荷役人が箱の蓋を外した。

「中身が見えない。透明な水晶板を付けよう」

船大工は古い帆柱を梁にし、網元は寝台用の縄を出した。魚売りの女たちは、子どもを働かせる代わりに炊事当番を交代制にした。誰も命じられていない。自分の銅貨がどの釘になったか分かるから、口も手も出したのだ。

修繕の途中、遠縁の家へ引き取られる予定だった兄妹を別室にする案が出た。人数だけなら効率がよかった。しかし子どもたちが反対し、ガルドは規則へ一行を足した。兄弟姉妹を分ける場合は本人全員の同意が必要、と。大人の都合を「保護」と呼ばせないためだった。

最年長のトーニは、部屋割りの会議で言った。

「十二人を大部屋にしないで。夜泣きする子と、朝の早い子を分けたい」

その意見が通り、宿直棟には小さな寝室が六つできた。各室に二つの窓。計十二の窓は、海ではなく町の灯を向いていた。

入居の晩、子どもたちは新しい灯台守を決めた。火を守るのではない。玄関の灯を最後に消す係だ。

トーニが最初の火をともすと、沖から帰った漁船が一斉に汽笛を鳴らした。

廃灯台に、帰る者を待つ明かりが戻った。