箱は同じ幅で

隊商主バルドは、岳の図面を見て鼻で笑った。

「箱を全部同じ幅にする? 荷物は中身に合わせて包むものだ」

出発前の荷庭には、丸樽、細長い木箱、膨らんだ革袋が積まれていた。三台の荷車へ押し込んでも、車内には拳ほどの隙間が無数に残る。それでも香辛料の箱が二十七個、地面に余っていた。

このままなら四台目を雇う。御者と護衛と馬の餌で、利益の三割が消える。

岳は昨日、木工所に作らせた箱を並べた。幅と奥行きは二種類だけ。高さは半分か一倍。小箱二つが大箱一つとぴたり重なる寸法だ。

説明はしなかった。革袋の中身を小箱へ、細長い荷を大箱へ移し、同じ面を前にして積ませた。

一段目が床を隙間なく埋めた。二段目は継ぎ目をずらして噛み合い、急停止させても崩れない。三台目の扉が閉じたとき、余っていた二十七箱まで中に収まり、それでも上部に毛布十枚分の空間が残った。

「数えろ」

バルドが低く命じる。

番頭が帳板を読み上げた。

「予定百四十六個、積載百四十六個。破損なし。四台目、不要です」

試しに荷車を石畳で一周させた。戻ってきても、箱は指一本ずれていない。いつもなら縄を締め直すだけで一刻かかるのに、今回は扉を開けて確認するだけで終わった。

最初の宿場でも差が出た。荷札の付いた面がすべて通路側を向いているため、注文された染料箱六個を奥から掘り出す必要がない。二段だけ外し、八分で荷渡しが終わった。前回は三十一分かかり、その間に香油の瓶を二本割っている。

箱は荷車から降ろした後も、宿の台車へ二列でぴたり載った。持ち替えなし。雨雲が来る前に荷は屋根下へ入り、濡れた商品は一つもなかった。

番頭が利益表へ、四台目の費用だけでなく破損損までゼロと書き足した。

四台目の御者が仕事を失ったと怒鳴りかけた。だがバルドは、その荷車を別の商人へ貸す計算をもう始めていた。

「岳。この箱を何個作れる」

「木工所二つなら、月に千個」

「違う」

バルドは岳の図面に隊商印を押した。

「うちが買うのは箱じゃない。この寸法だ。全隊商の荷造りを、お前に任せる」