暁を彫った男

石工ヨアスは、夜明けの女神ネマラを彫った。

女神は毎朝、東の峰へ立ち、指で夜を裂いて太陽を導く。

ヨアスが初めて彼女を見たのは、採石場で夜を明かした春だった。

「人は神を見てはいけない」

ネマラは言った。

「では、石なら見てもいいでしょう」

彼は記憶だけを頼りに、小さな横顔を彫った。

完成した翌朝、夜明けは一分遅れた。

ネマラは日が沈むと工房へ来た。

「私の姿を石に留めると、空へ戻る力が減る」

「壊します」

「その前に、もう一度見せて」

一度が十度になり、十度が百夜になった。

ヨアスは髪、指、笑う唇を彫った。

ネマラは人のパンを覚え、火のそばで眠ることを覚え、彼を愛した。

像が増えるほど暁は遅れた。

麦は育たず、漁師は星の消えない海で道を失った。

神殿は告げた。

最後の等身像が完成すれば、ネマラは完全な人となる。その代わり、世界から夜明けがなくなる。

像は、あと瞳を彫れば完成だった。

「彫って」

ネマラは石の前に立った。

「あなたと年を取りたい」

「世界は永い夜になる」

「神でいるあいだ、私は誰のものでもない」

「人になれば、私のものになるのですか」

「あなたの隣にいられる」

ヨアスは鑿を瞳へ当てた。

一度打てば、恋はかなう。

しかし窓の外から、朝を待って泣く子どもの声が聞こえた。

彼は鑿を下ろし、代わりに像の胸へ槌を振り下ろした。

石のネマラが砕ける。

工房中の像も、共鳴するように崩れた。

女神の輪郭が光へ戻り始めた。

「私より、朝を選ぶのね」

「違う。あなたが愛していた世界を選ぶ」

「そんな別れ方を、誰が教えたの」

「神を愛した人間が、自分で考えました」

ネマラは泣いた。

涙は床へ落ちる前に金色の霧となった。

東の空が白む。

何か月ぶりかの夜明けだった。

「ヨアス」

女神は峰へ昇りながら言った。

「最後の像だけ、瞳がなかった」

「だから、あなたは私を見続けなくていい」

太陽が昇ると、彼女の姿は消えた。

ヨアスは二度と神像を彫らなかった。

代わりに町じゅうの窓枠を作った。

毎朝、人々が暁を見られるように。

ネマラは誰のものにもならず、世界へ戻った。

ヨアスの工房には、瞳のない石の欠片だけが残った。

二人が最後まで見つめ合わなかったからこそ、朝はその後も、すべての人のもとへ平等に訪れた。