焦げた晩餐と三人の客

宮廷料理人を追われたカロムの荷物は、包丁一本と焦げた鍋だけだった。

和平晩餐会で主菜を焦がしたうえ、食べた公爵が倒れた。毒は銀皿に塗られていたと後で判明したが、厨房長はカロムを庇わなかった。

「客を倒した料理人に、次の皿はない」

市場裏で小さな屋台を出した初日、客は三人だけだった。

女傭兵ロザベルは、使い込んだ短剣を調理台へ置いた。

「うちの遠征隊に来い。これは食材を守るために預ける」

若き領主クオンは、二人掛けの卓の向かいを空けたまま、焦げ目のついた煮込みを食べた。

「城の厨房に席を用意した。味見は私がする」

旅芸人エニスは、閉店後の辻馬車をつかまえ、御者へ待つよう金を渡した。

「店を畳むまでいるよ。帰り道で返事を聞かせて」

三つの誘いを前に、カロムは久しぶりに鍋を握る手が軽くなった。

ロザベルは焦げた端まで残さず食べ、クオンは塩を足す前に必ずカロムへ尋ね、エニスは客寄せの歌を止めて湯気の音を聞いた。誰も宮廷の噂を料理の味に混ぜなかった。三人の食べ方は、どんな推薦状より静かだった。

だが二皿目を出した瞬間、ロザベルが咳き込み、クオンの匙が止まり、エニスが眉をひそめた。

鍋底から苦い煙が上がっている。薪に混じった薬草が燃え、料理へ刺激臭が移ったのだ。

また客を倒す。

カロムは鍋を地面へ落とした。

「食べないでくれ。勧誘も取り消していい。俺は結局、誰かを傷つける」

三人が立ち上がる。去るのだと思った。

しかしロザベルは短剣で燃える薪を掻き出し、クオンは水桶を運び、エニスは屋台の布を外して煙を逃がした。誰も背を向けない。

「咳は煙のせいだ」とロザベルが言う。

「一口目は旨かった」とクオンは残った皿を守るように持ち上げた。

エニスは御者へ向かって叫ぶ。

「もう少し待って! 今夜は四人で片づけるから」

カロムが捨てた鍋を、三人の手が同時に拾った。

遠征隊の野営地にも、領主の城にも、旅一座の馬車にも、彼のための火床があるという。どこへ行くかは決めなくていいと、三人は焦げた鍋を囲んだ。

市場の灯が消えたあとも、帰りの馬車だけは、四人分の湯気を待っていた。