胎内の鐘

産室では、二つの心臓が止まりかけていた。

寝台のシュラヤは血の海に沈み、その胸には浅い息しかない。生まれた子はミルオネの腕の中で青く、口を開けたまま泣かなかった。

助産師ミルオネは、床の銅盆へ自分の血を一滴落とした。

盆の底から、鐘腹の悪魔が声を上げる。

――一度鳴らせば、一つの心臓を一拍だけ戻す。その代わり、おまえの肉のどこか一か所を青銅にする。

戻した拍が続く保証はない。次の拍が来なければ、また鳴らすしかない。

ミルオネは赤子の胸へ指を置いた。

「一度」

身体の奥で鐘が鳴る。赤子の心臓が跳ねた。同時に、ミルオネの左耳が冷たく重くなり、青銅へ変わった。音が半分遠ざかる。

赤子の鼓動は次へ続かない。

「二度、三度」

二つの音。赤子の胸が二度動く。ミルオネの右の小指と左の乳房が金属になった。衣の下で冷たい重さが皮膚を引いた。

シュラヤが痙攣し、息を止める。

「四度」

母の心臓が戻る。代価にミルオネの右肺の下半分が青銅となり、呼吸が笛のように鳴った。

「やめて」とシュラヤが掠れ声で言った。「子だけを」

赤子の胸がまた静かになる。

ミルオネは知っていた。生まれたばかりの心臓は、自分で拍を覚えるまで何度も呼び戻さねばならない。

「五度、六度」

肝臓が硬くなり、左目が銅色に曇る。赤子の肌へ、ようやく薄い赤みが差した。

七度目の鐘を呼ぶ前に、悪魔が尋ねた。

――残っている柔らかな器官で、最もよく響くのはどこだと思う。

ミルオネは腹を押さえた。子を持つことはなかったが、いつかという想像だけは捨てていなかった。

赤子の鼓動が消える。

「七度」

産室を震わせる低い鐘が鳴った。

赤子が息を吸い、初めて泣いた。続いて二拍目、三拍目。今度は悪魔の助けなしに、小さな胸が動き続ける。シュラヤの脈も戻っていた。

皆が泣き、笑った。ミルオネだけが立てない。下腹の内側で、丸い青銅の鐘が重く揺れている。子宮も、その周りの肉も、音を閉じ込めた金属になった。

シュラヤが赤子を抱き、涙の向こうから言った。

「あなたの名を、この子に残したい」

ミルオネは答えようとした。

青銅になった肺が空気を押し、金属の耳へ届いたのは、自分の声ではない澄んだ一打だけだった。

赤子はその音に泣き止んだ。だが産室の誰も、それが女の名だったとは分からなかった。