角と尻尾の長机
開拓村リースの学校には、同じ年の子どもが二つの部屋へ分けられていた。
人族は机のある正教室。獣人族は物置を片づけた床座りの部屋。教師は「角が邪魔になる」「尻尾で椅子を倒す」と説明したが、実際には正教室の机が、人族の体格だけに合わせて作られているだけだった。
村長補佐フィオナは、種族別の名簿を破った。
「分ける基準を変えます。必要なのは、低い机、高い机、背もたれのない椅子。それだけです」
費用は工房税から出す。ただし売上すべてではなく、職人一家の生活費を差し引いた利益の百分の二。誰がいくら納め、木材一本にいくら使うかを学校の窓に掲示する。領主直営の製材所も同率だ。
「獣人のために、うちが払うのか」
家具職人が言った。フィオナは首を振る。
「あなたの娘が成長して机が低くなった時も、同じ金で直します。これは誰かの種族ではなく、必要な寸法に払う費用です」
翌朝、その職人が最初の可動脚を持ってきた。角の大きい鍛冶屋は天板の角を削り、尻尾の長い母親は椅子の背を半分だけ開ける案を出した。子どもたちは試作品に座り、合わなければ遠慮なく木札を上げた。
古い正教室の表札は外された。代わりに子どもたちは、欲しい机の高さを色札で投票した。製作順は声の大きい親ではなく、今の机で痛みが出る子から。誰の札が何番目かも窓に貼られたため、村長の孫を先へ入れようとした書記は、黙って列の最後へ戻した。
三日後、物置の授業はなくなった。
物置だった部屋は、机の修理工房として残された。子ども自身が寸法を測り、次に入る小さな子の椅子を直す。排除の跡が、迎える準備の場所になった。
初めて同じ長机に並んだ日、人族の少年が教科書を中央へ寄せた。隣の兎人の少女は長い耳を伏せ、同じ頁をのぞき込む。反対側では山羊人の角が誰にも当たらない高さに、机がきちんと下げられていた。
教師が出席を取ろうとして、古い種族欄のない新しい名簿を開く。
校舎の外では、余った木片で作られた看板が風に揺れていた。
『席は、体に合わせる。学ぶ権利は、誰にも合わせて減らさない』