骨は長い順に並べよ

《整列》ねえ。同じ物を長さ順に並べるだけ? 倉庫番にも余る無能よ」

死霊術学院の入門鑑定で、ネフラ王女はバシュへ冷たい笑みを向けた。

《スキル:整列――十歩以内にある同種の物を、長さ順の一列へ移す》

箱の矢や食卓の匙なら片づく。しかし敵が都合よく同じ物をばらまく戦場などない。バシュは墓所の清掃係にされ、卒業試験を見物する資格すら奪われた。

墓所では、狼と人と鳥の骨が一つの箱に投げ込まれていた。バシュが触れれば、種別ごとではなく“骨”として一本の列になる。教授は分類もできない欠陥だと怒ったが、彼はその曖昧さを覚えていた。能力が同じ物と見なす範囲は、人間の棚札よりずっと大ざっぱなのだ。

試験当日、上級生が呼び出した骨竜が制御を失った。

百年分の獣骨を継ぎ合わせた巨体が、術者を尾で薙ぎ、天井の封印を噛み砕く。剣を入れても骨は黒い霧でつながり直し、砕くほど頭が増えた。

「全員、棺室へ退避!」

ネフラ自身が死霊鎖を放つが、骨竜は鎖ごと飲み込んだ。王女の顔から初めて余裕が消える。

清掃用の箒を握ったバシュだけが、逆方向へ歩いた。

骨竜を形作る肋骨も牙も指骨も、釘や腱で留められてはいない。死霊の霧が位置を保っているだけだ。つまり、一本一本は同じ種類の“骨”だった。

「それ以上近づけば死ぬわ!」

「片づけます。長い物から棚へ入れる癖があるので」

尾が振り下ろされる直前、バシュは床に散った骨片へ触れた。

《整列》

轟音ではなく、乾いた無数の拍手が響いた。

骨竜の全身から骨が抜け、空中を横切って一列に並ぶ。最初に長い大腿骨と背骨、次に肋骨、最後に米粒ほどの耳骨。黒い霧はつなぐ相手を失い、竜の形だけを残して崩れた。

学院の端から端まで、一本の白い列が伸びていた。

その先頭で、巨大な頭骨が行儀よく床へ置かれている。

ネフラは自分の王冠を外し、清掃係の腕章の上へ載せた。

「訂正するわ、バシュ。あなたは倉庫番ではない。千の死者を一度に解体できる、学院唯一の対軍死霊術師よ」