乾燥機の向こうの一週間

娘の学芸会前夜、父親は大きな失敗に気づいた。

衣装係を引き受けたのに、王様のマントをまだ作っていなかった。

娘は脇役の木その二である。王様とは別の子だ。

それでも父親は保護者会で「裁縫ならできます」と言ってしまった。ボタンを二つ付けた経験を、裁縫歴に数えたのが間違いだった。

夜のコインランドリーへ布を持ち込み、説明書と格闘した。

乾燥機が回り始めたとき、奥の点検室の扉が開いた。

中へ入ると、乾燥機の一回転が、点検室では一日になった。

外の表示は残り四十分。

こちらでは四十日ある。

父親は喜び、すぐに絶望した。

時間が増えても、腕は上手にならない。

最初の一週間で、布を逆に裁った。

二週目に、ミシンの糸を絡ませた。

三週目、点検棚に古い裁縫雑誌を見つけた。

誰かが書き込んだ「失敗したら飾りで隠す」という一文を信じ、歪んだ縫い目へ星を大量に付けた。

四週目の途中、娘から預かった木の衣装が鞄にあることを思い出した。

茶色い袋へ葉を縫うだけの簡単な衣装だ。

父親は王様の豪華なマントより先に、娘の木へ小さなポケットを付けた。

舞台で緊張したとき、手を入れられるように。

三十二日目、マントが完成した。

赤い布は左右で長さが違い、星は夜空というより事故現場の印に見えた。

それでも父親は、残り八日を使わず扉を開けた。

外では三十二回転、三十二分しかたっていなかった。

父親の髭だけが一か月分伸びていた。

店員は悲鳴を上げ、父親は「裁縫は時間がかかるんです」と説明した。

本番、王様役の子はマントを見て大喜びした。

「宇宙の王様みたい」

演出にはなかったが、台詞まで宇宙風に変えた。

娘の木は台詞を一度だけ忘れ、ポケットへ手を入れた。それから葉を揺らし、ちゃんと風の音を言った。

帰宅後、娘は父親の髭を引っ張った。

「どうして一晩でこんなに伸びたの」

「努力」

「努力って髭になるの?」

「たまになる」

点検室の扉は翌日から開かなかった。

父親は裁縫が得意にはならなかったが、町の教室へ娘と通い始めた。

最初の課題は、左右が同じ長さの袋だった。

二人の作品はどちらも少し歪み、学芸会のマントほどではないが、十分に使えた。