嫌いになるための告解

ベロアの胸から生えた花は、彼女が愛されるほど大きくなる。

地下聖堂の石卓で、黒い花弁はもう喉まで覆っていた。中心には乳白色の幼虫が丸まり、鼓動に合わせて口を開く。あと一枚咲けば、彼女の身体を食い、花の魔物として立ち上がる。

司祭はカナシュへ七粒の塩を渡した。

「最も愛する者が、七つの真実の嫌悪を告げよ。嘘では虫は育つ。真実なら愛が一つずつ死に、虫は飢える」

ベロアは目だけで笑った。「得意でしょう。いつも文句ばかり」

カナシュは一粒目を舌へ乗せた。

「食べる音が嫌いだ。硬い実を噛むたび、馬が石を踏んだみたいで」

塩を噛む。黒い花弁が一枚しおれた。同時に、焚火を囲んで彼女の咀嚼音を聞く夜が、急に耐えがたいものへ変わった。

二つ目。寝言で自分の名を呼ぶこと。

三つ目。傷を隠して平気な顔をすること。

四つ目。謝るときだけ子どもの声になること。

告げるたび、思い出は残るのに温度だけが抜けた。愛しかった癖が、本当に疎ましくなる。虫は縮み、花弁が床へ落ちた。

五つ目は、彼女が誰にでも優しいこと。その優しさを自分だけのものだと勘違いさせるところまで嫌いだと告げると、カナシュの中で嫉妬も同時に死んだ。ベロアが誰を選ぼうと、もうどうでもよかった。

六つ目は、死ぬ覚悟を先に決めること。

残る花弁は一枚。ベロアの顔が見えるようになった。涙を流している。

「最後は言わなくていい」

「言わなければ、おまえがいなくなる」

「言えば、私を救ったことを後悔する」

カナシュは最後の塩を噛んだ。

「おまえのためなら死ねると思っている自分が、いちばん嫌いだ」

最後の花弁が落ち、幼虫は乾いた音を立てて崩れた。ベロアの胸には白い肌だけが戻る。

彼女は石卓から降り、よろめきながら手を伸ばした。

カナシュはその手を反射的に払いのけた。

驚いた顔を見ても、胸は痛まない。七つの記憶は鮮明なのに、どれも他人の癖のように煩わしかった。

「なぜ、そこまでして助けたの」

問われても答えがない。カナシュの心には、人一人が入っていた形の空洞だけが残り、その縁から、嫌悪という名の黒い花が静かに咲き始めていた。