轍の深さで払う道

山道が壊れるたび、小農ばかりが泣いた。

 峠の関所では、荷車一台につき銅貨五枚。野菜を一籠積んだ二輪車も、鉱石を山積みにした八輪車も同額である。しかも重い鉱車が道をえぐり、修理費が足りないと言って、また一律五枚が上乗せされた。

 羊飼いの娘フィオナが代官になった初日、彼女は関所の前に粘土を広げた。

「車を一台ずつ通してください」

 鉱山主は笑った。

「子どもの泥遊びで税を決めるのか」

「ええ。道が受ける傷を、道自身に証言させます」

 粘土に残った轍は明白だった。手押し車は浅い一本線、農家の二輪車は指一本、鉱車は手首まで沈む。

 フィオナは新しい料金板を立てた。

 手押し車と空車は無税。二輪の軽荷は一枚。四輪は三枚。鉱石など、板に記した重量を超える荷は八枚。集めた金は峠道の三か所だけに使い、区間ごとの支出を石柱へ刻む。

「鉱山を狙い撃ちにした税だ」

 鉱山主が怒鳴る。

「いいえ。明日、あなたが空の二輪車で通れば一枚です。私が八輪に石を積めば八枚。名前ではなく、轍で決めます」

 さらに、道直しに参加した者には一日あたり銅貨二枚分を納税済みとして記録すると発表した。強制労働ではない。金で払うか、働いて払うかを選べる。作業時間と相殺額も関所の板に残し、役人の親類だけが高く評価されないよう、一日の額を全員同じにした。

 翌朝、最初に鍬を持ってきたのは、税が一枚に減った農夫だった。次は宿屋の主人、羊飼い、荷運び人。鉱山主は来なかったが、彼の鉱夫たちが休日に現れた。

「鉱車が止まれば俺たちも困る。でも、親方の穴だけ直すのは嫌だった」

 石柱に全区間の費用が刻まれているのを見て、彼らは峠全体へ砕石を敷いた。

 三日目、鉱山主も八枚を無言で箱へ落とし、石運びに加わった。誰も命じなかった。ただ、自分の車が残す傷と、自分の支払いが埋める場所を知ったのだ。

 道が完成すると、フィオナは粘土の轍を焼いて標識にした。

『軽い車には軽い税。深い轍には深い責任』

 その下を、野菜一籠の二輪車が揺れずに通る。荷台の卵は、一つも割れなかった。