三と四と五の城門

新城門の左右の塔は立派だった。問題は、その間にはめる二枚扉が閉まらないことだ。上ではぴたりと合うのに、下では腕一本ぶん開く。石工頭は扉職人のせいにし、扉職人は石工を罵った。

旅の建築士ノアトは、地面に縄を置いた。

「門の角が直角ではありません」

「目で見れば真っすぐだ!」と石工頭が怒鳴る。

ノアトは縄に等間隔の結び目を十二個作り、三、四、五の長さで三角形を張った。三辺がその比なら、一つの角は必ず直角になる。彼は講釈せず、門の左右で縄を張った。

東塔は縄の角と一致した。

西塔は、基礎線が半歩外へ逃げていた。

石工頭は別の場所でも試した。何度張っても、ずれは同じ。そこで西側の蝶番受けを削り、下だけ半歩内へ移す。扉を吊り直すまで二時間だった。

夕刻、二枚の門扉が動いた。

上の隙間、指一本。中央、指一本。下も指一本。

閂は槌を使わず滑り込み、門兵一人の力で開閉した。予定していた全面解体なら四十日、石材八百個。実際に使ったのは縄一本と石工六人の半日だった。

城主は責任争いの報告書を火鉢へ投げた。

「明日から外郭壁の工事に入る。塔が四十二、角が百六十八ある」

石工頭が青ざめる横で、城主はノアトへ測量杖を渡した。

門の歪みは、完成祝いの直前に発覚した。城主は翌朝、諸侯の前で門を閉めてみせる予定だった。全面解体になれば、笑い者になるのは職人だけではない。だから石工頭は声の小さい見習いへ罪を押しつけようとしていた。

ノアトは見習いにも縄を持たせ、三歩、四歩、五歩の結び目を自分で張らせた。少年の手でも同じ歪みが出る。城主は扉を閉めたあと、外から騎兵二十騎に押させた。左右の閂受けへ力が均等にかかり、蝶番は一本も軋まない。以前の歪んだ状態なら片側だけが外れていたはずだ。見習いの解雇状は、その場で破られた。

翌朝、見習いの少年は初めて一人で門を閉じ、閂が収まる音に笑った。

縄は翌日から、見習い全員の道具箱に一本ずつ入れられた。

「すべての直角をお前が決めろ。城塞建築官として採用する」