勇者ランキング第一位

冒険者カロム・ユジンがギルドへ入ると、掲示板の最上段に自分の名があった。

〈第一位 カロム・ユジン〉

彼は三度読み直した。

「ついに評価が追いついたか」

受付係が「お待たせしました」と言う前に、カロムは椅子の上へ立った。

「皆、驚かなくていい。俺も今日知った」

酒場の冒険者が振り向く。

「何を?」

「ランキング一位だ」

「何の?」

「勇者の」

「掲示板に勇者とは書いてないぞ」

「強者ほど説明を省かれる」

剣士が面白がって尋ねた。

「二位との差は?」

「見えないほど大きい」

「数字は?」

「一位に数字は不要」

「一位という数字を使ってるが」

「細部を突く者は伸びない」

会話を聞いた新人たちが集まってきた。

「必殺技を教えてください」

「敵をよく見ることだ」

「それだけ?」

「最強者が言えば奥義になる」

「武器は?」

「今は修理中」

「素手でも勝てるからですか」

「そういうことにしておこう」

ちょうど巨人討伐隊の募集が始まり、受付係が紙を配った。

「第一位なら隊長を」と誰かが言う。

カロムは少しひるんだが、視線が集まっている。

「巨人程度、俺一人でも」

「では単独で?」

「仲間に成長の機会を与えたい」

「優しい!」

「報酬は隊長分?」

「現実的!」

対抗心を燃やした上級冒険者が剣を抜いた。

「一位の実力、確かめさせてもらう」

カロムは手を上げた。

「ランキング戦は公式の場で」

「ここがギルドだ」

「今日は装備の調子が」

「素手で勝てると」

「最強者にも準備運動はある」

受付係がようやく人垣をかき分けて来た。

「カロムさん、順番が来ました」

「巨人討伐の?」

「いいえ。武器修理の受け取りです」

彼女は掲示板の上に、めくれていた紙を戻した。

〈修理品受け取り待ちランキング〉

〈第一位 カロム・ユジン〉

酒場が静かになった。

受付係は修理済みの短剣を差し出した。

「三か月お待たせしましたので、本当に第一位です」

カロムは短剣を受け取り、うなずいた。

「待つ強さなら、誰にも負けない」

その点だけは、全員が認めた。