四枚目のプリクラ

高校の同級生二人は、二十五年ぶりに会った。

駅前の商業施設は変わったが、地下の写真機だけが昔と同じ場所にあった。

冗談でプリクラを撮り、四枚続きの細長い写真を受け取った。

一枚目は緊張した顔。

二枚目は笑いすぎ。

三枚目は目を閉じている。

四枚目だけ、二十五年前の制服姿だった。

写真を折り、四枚目だけ表へ出すと、制服の二人が話し始めた。

「まだ怒ってる?」

写真の中の一人が聞いた。

現在の二人は顔を見合わせた。

高校最後の日、二人は同じ人を好きだったことが分かり、喧嘩した。

本当は恋より、親友に選ばれなかったことが悲しかった。

卒業後、一度も連絡しなかった。

「そっちが謝れば」

制服のもう一人が言う。

「私が?」

「私じゃない」

写真の中でも喧嘩している。

現在の二人は思わず笑った。

二十五年たっても、昔の自分たちは一歩も進んでいない。

「結局、あの人とはどうなったの」

一人が聞いた。

「三か月で別れた」

「短っ」

「あなたは?」

「告白もしてない」

「じゃあ、何で喧嘩したの」

「あなたが私より大事な人を作ったから」

口にした瞬間、写真の制服姿が黙った。

現在の友人も、目を伏せた。

「私も、あなたが応援してくれなかったのが悲しかった」

「言えばよかった」

「言えなかった」

「私も」

写真の中の二人が、同時にため息をついた。

「二十五年も?」

「長すぎ」

「馬鹿じゃないの」

自分たちに言われ、反論できなかった。

四枚目を内側へ折ると、声は消えた。

一枚目を表にすれば、現在のぎこちない顔が並ぶ。

二人は写真機へ戻り、もう一度撮った。

今度は最初から笑わず、最後の一枚だけ、わざと制服時代のポーズをした。

出てきた写真は普通だった。

誰も話さない。

「連絡先、交換する?」

「今さら?」

「二十五年後にまた会うよりは」

「その頃、写真機ないかもよ」

二人は夕食を食べ、昔好きだった人の悪口を少し言い、互いの家族や仕事の話をした。

空白の二十五年は、一晩では埋まらない。

けれど帰り際、どちらからともなく、

「また来月」

と言えた。

四枚目のプリクラは半分に切らず、一人が一年ずつ持つことにした。

折らなければ、制服の二人は話さない。

その方がよかった。

昔の自分たちへ決めてもらわず、今の二人で次の約束を作りたかった。