湯気の立つ寝床
冬になると、孤児のヨナスはパン窯の裏で眠った。夜まで残る熱だけが頼りだったが、朝の仕込み前には追い出される。
領主代行オデットは、閉鎖された公衆食堂の二階を住居に変えると決めた。階下の大鍋はまだ使える。問題は、暖房と食費をどう賄うかだった。
「全世帯から同じ額を取れば早い」
役人が言う。
「子どもの多い家ほど苦しくなる。食堂で売れた温かい料理一皿につき銅貨一枚。ただし原価以下で配る救済食は対象外。集めた金の半分を燃料、四分の一を住居修繕、四分の一を緊急食へ。毎晩、皿数と金額を鍋の横へ掲示する」
オデットは自分の晩餐も食堂から買い、十皿分を払った。だが寄付扱いにはせず、帳簿には他の客と同じ一行だけを書かせた。
料理人たちは俄然張り切った。スープが売れれば、上の部屋が温まる。農家は形の悪い芋を安く卸し、木こりは燃料の価格表を自分から貼った。誰もヨナスを哀れむ演説はしなかった。ただ、鍋を焦がさず、計量匙を守り、余った利益を誤魔化さなかった。
ヨナスも夕方の皿洗いを申し出た。
「住む代わりに働く」
オデットは首を振る。
「住む権利は先にある。働くなら賃金を受け取りなさい」
初めて受け取った銅貨で、彼は食堂のスープを一皿買った。その一枚も燃料費の箱へ入った。
食堂には「孤児支援の特別皿」という名を付けないことも決まった。誰が買っても同じ木椀、同じ値段、同じ列。ヨナスが食べる時だけ無料札を出す案も、本人の希望で廃された。必要な分は住居会計から正規に支払い、帳簿へ一皿と記す。それなら彼も客だった。献立会議では、ヨナスにも他の常連と同じ一票が渡された。
二階には小部屋が三つできた。廊下の床下を煙道が通り、階下で鍋を煮ると部屋まで暖まる。入居の夜、ヨナスは窓辺にパンを置いた。以前なら凍っていたはずの表面が、朝まで柔らかい。
階下から、最初の仕込みの香りが上ってきた。
彼は追い出される時刻に目を覚まし、もう一度、温かい布団へ潜った。