獣の眼をください

森の外では、狩人たちが角笛を鳴らしていた。

倒木の陰でグルムは両手を縛られ、鼻をひくつかせている。瞳は金色に裂け、エディナの顔ではなく首筋を追っていた。噛まれた者は日没までに、人を肉の塊としてしか見られなくなる。

「眼を替えれば戻る」

盲目の巫女は茨の冠を二つ置いた。「まだ彼を人として見ている者と、視界を交換する。ただし返す術はない」

グルムが低く唸った。

「俺には、おまえも鹿も同じだ。近づくな」

「それでも声は私を知ってる」

「声が消える前に殺せ」

エディナは答えず、彼の額と自分の額へ冠を押し当てた。茨が皮膚へ潜り、二人の目の奥で根を結ぶ。交換が始まれば、途中で離した方は両方の視界を失う。狩人の角笛が二度鳴り、矢が倒木へ突き立った。グルムは本能のまま暴れたが、エディナは額を押しつけたまま、彼が人だった頃の傷跡を指で確かめ続けた。

巫女が鈴を鳴らす。

最初に、色が裏返った。木々は灰色になり、グルムの胸だけが赤く光る。次に匂いが形を持った。汗は白い煙、恐怖は甘い霧、血は眩しい道となって鼻から喉へ続く。

エディナは歯を食いしばった。グルムの首に脈打つ赤い線が、あまりにも美味そうだった。

向かいで彼が叫ぶ。「見える。おまえの顔が見える!」

彼の瞳から金が抜け、人の茶色へ戻っていく。代わりにエディナの爪が土へ食い込み、視界の端で逃げる鼠の心臓まで鮮やかに燃えた。

狩人の足音が近づく。巫女は二つの冠を切り離した。

「終わった。彼は人だ」

グルムは縄を引きちぎらず、震える指でエディナの頬へ触れた。

「ありがとう。俺だ。分かるか」

エディナは彼の顔を探した。けれどそこにあるのは皮膚、骨、眼球、柔らかな喉。人というまとまりには見えない。

「分かる」

そう答えた声は低く濁った。安心したグルムが抱きしめる。

エディナは目を閉じた。閉じても、彼の心臓だけは赤く透けて見えた。舌の下から伸びた新しい牙が唇を押し上げ、彼女は仲間の肩越しに、狩人たちの鼓動を一つずつ数え始めた。