蜜蝋灯と干し果実

谷あいの果樹村では、秋の林檎が地面で腐り、冬の子どもが空腹を訴えていた。

収穫期は短い。木に登れる若者のいる家だけが実を取りきり、老人世帯の果樹は鳥の餌になる。領主補佐のロザは、干し小屋を一つ建てるだけでよいと考えた。問題は、誰の林檎をどれだけ乾かすかだった。

広場に集まった住民へ、ロザは蜜蝋の小さな札を配った。

果樹一本につき札十枚。持ち主は六枚、収穫を手伝った者は三枚、残り一枚は共同棚へ。小屋の燃料税は、乾燥させた果実二十串につき一串。共同分は幼子、病人、収穫できなかった家へ人数で分ける。札は溶かせないよう村印を刻み、使われた数を毎晩、窓辺の板へ並べる。

「木を持つ者が損だ」と地主が言った。

すると、腰の曲がった果樹園主が首を振った。

「去年は百個落とした。今年は六割も残るなら得だよ」

最初の日、地主の息子が老人の木へ梯子を掛けた。靴屋の娘は皮をむき、羊飼いは小屋の風窓を直した。報酬の札がその場で手渡されるため、恩を売る者も、頭を下げ続ける者もいなかった。

ロザは領主館の果樹にも同じ札を掛けた。護衛が実を取れば、三枚は護衛のものだ。

三日目、強い風が吹き、丘の古い果樹から実が一斉に落ちた。持ち主の老夫婦だけでは、夜露が降りるまでに拾えない。

蜜蝋札が足りないと知った若者たちは、それでも籠を持って走った。老夫婦は困って「報酬を払えない」と言う。

ロザは共同棚の一割を、災害時の作業札へ換えられる規則を板に追記した。皆が数字を確かめ、賛成の印を押す。拾った実の多くが冬備えになり、若者の働きもただ働きにならなかった。

夜、干し小屋に蜜蝋灯がともった。薄く切られた林檎が糸に並び、甘酸っぱい香りが梁へ昇る。共同棚には一串、また一串と、名札のない果実が増えていった。

最後に老人が入口へ木彫りの看板を吊るした。

――実を余らせず、手も余らせず。

灯の向こうで、百本の林檎の輪が金色に透けていた。子どもたちは、その一串が真冬の甘味になる日を数え始めた。