八人目を切る橋

鋼谷モネの足元から、ギルド専用橋が消えた。

《七人結界》

同一ギルドの先着七名だけに足場を表示します。

「悪いな。スポンサーを入れる」

団長は八人目だったモネを除名し、代わりに高額装備の客を招待した。七人の足元に青い橋が伸びる。モネだけが奈落側の岩棚へ残された。

前方では最終門が開き、団長たちが走り出す。だが橋の中央で罠が作動した。

《同一ギルド七名を拘束》

青い足場が鎖へ変わり、七人の脚を縛る。七人結界は救済ではなく、同じ指揮系統をまとめて捕らえるギルド対策だった。

除名されたモネには鎖が見えない。岩壁の外側に、誰でも登れる細い手掛かりが浮かんでいる。

「助けろ! 戻してやる!」

団長が叫ぶ。

モネは外壁を登り、罠の制御盤へ着く。解除条件は《ギルド外の一名が、七名全員の解放を選ぶこと》

見捨ててもいい。自分を切った団長だけ残し、他の六人を救う選択肢もある。

モネは全員解放を押した。

鎖が消え、七人は橋へ崩れ落ちる。団長は礼も言わず、再招待を送ってきた。モネは拒否する。

「八人目だったから、ここまで来られた」

客として入った重装備の男が黙ってギルドを抜け、モネの隣へ立つ。他の者も一人ずつ紋章を外した。

青い橋は消えた。代わりに外壁の手掛かりが全員へ見える。

《七人結界を解除》

《救助者:ギルド無所属・鋼谷モネ》

外壁を登った道には、豪華な宝箱も速度強化もなかった。指をかける窪みが、誰か一人の歩幅ごとに刻まれているだけだ。

モネを切った団長は、七人を選ぶことが指揮だと思っていた。だが橋の罠は、同じ命令へ従う七人を一度に捕らえた。外にいる一人だけが、誰を助けるか自分で決められた。

元メンバーたちは新しいギルドを作らなかった。まず無所属のまま最終門を越え、名前ではなく互いの手を確認する。

団長だけが古い紋章を握り、青い橋が再び出ないことへ怒鳴り続けた。

《攻略条件を開示――同じ旗の下で七人を選ぶことではなく、旗の外へ捨てた一人に救われても従属を求めないこと》