占い師が二人いる

友人宅の人狼ゲームで、最初の昼が始まった。

白いシャツの女性が手を挙げる。

「私、占い師です」

向かいの男性も続いた。

「私も占い師です」

部屋がどよめいた。

進行役が確認する。

「二人とも占い師を名乗るんですね」

男性はうなずく。

「ええ。西洋占星術が専門です」

女性が眉を寄せる。

「専門?」

「駅前で店をやっています」

「ゲームの役職を職業として営業してるの?」

「二十年になります」

「人狼会の外でも偽装を?」

参加者たちは二人の真偽を比べ始めた。

女性が言う。

「昨夜、眼鏡の人を占って白でした」

男性も言う。

「眼鏡の方は、今月対人運が低下しています」

「白か黒で答えて」

「人間を二色で見るのは危険です」

「それをするゲームです」

眼鏡の参加者が悩む。

「片方は本物、片方は人狼」

男性が星座表を広げた。

「今夜は双子座の月。二人いるのは自然です」

「人数を天体で正当化しないで」

「ところで皆さん、生年月日は?」

「占うふりをして個人情報を集める狼だ」

「予約カードへ記入いただければ初回千円引き」

「営業まで始めた!」

女性は焦った。

「私は本当の占い師です。このカードを見て」

男性も名刺を出す。

「私も本当です」

「そっちの“本当”が違う!」

議論は二十分続いた。

「男性は役職結果を一度も言わない」

「客でもない人を勝手に占わない主義です」

「女性は眼鏡さんを白と言った」

「狼仲間をかばった可能性」

「では両方追放?」

「占い師を二人失う」

「片方は明日も駅前にいる」

「ゲーム上の話をして!」

進行役がようやく男性の肩をたたいた。

「役職カードを確認してもらえますか」

男性は自分のカードをめくった。

〈村人〉

「ああ、自己紹介の時間だと思っていました」

「ゲーム開始後です!」

「皆さんが職業を名乗るので、私も」

本物の役職占い師は女性一人だった。

男性は帰り際、全員へ割引券を配った。

女性は翌日の占い結果として、彼へ〈説明書を先に読むでしょう〉と告げた。

その夜、最も多くの未来を見た者だけが、ルールを見ていなかった。