眠らない葬送
葬送の鐘が止むと、ヘズランは棺の蓋へ四本の釘を置いた。
将軍ウォルネは戦場ではなく、自室で死んだ。毒殺の疑いがあるのに、親族は病死として今夜中に焼こうとしている。犯人は参列者の中にいる。
棺の下に棲む悪魔は、死者へ一つ質問するたび、問い手から「眠りの一層」を剥ぐ。
一問目で夢を失う。二問目で眠気を失う。三問目で瞬きを失う。四問目で瞼そのものを失う。
四本の釘は、戻れない段階を示していた。
ヘズランは最初の釘を棺へ打った。
「最後に飲んだものは」
蓋の下から、ウォルネの声がした。
「黒葡萄酒」
その瞬間、ヘズランの頭から夢が消えた。幼いころ何度も見た海の夢も、今朝まで抱いていた悪夢も、輪郭ごと抜け落ちる。
二本目。
「杯を渡したのは」
「銀の指輪をした者」
眠気が消えた。疲労はあるのに、身体は休む方法を忘れた。
参列者の手を見る。銀の指輪は三人。長男、侍従、軍医。
三本目。
「毒を入れたのは、その三人の誰」
「侍従セドゥ」
ヘズランの両目から瞬きが消えた。涙が乾き、灯火が刃のように刺さる。
衛兵がセドゥを囲む。男は青ざめながらも叫んだ。
「命じられただけだ! 主犯を問え。死者は私しか知らぬ」
長男がすぐに火を入れろと命じた。軍医は顔を伏せる。
あと一問。犯人を捕らえるだけなら不要かもしれない。だが命じた者を残せば、ウォルネが守った兵たちは粛清される。
ヘズランは最後の釘を握った。
「やめろ」と衛兵が言う。「目を閉じられなくなる」
「もう三つ失った。ここで止めれば、ただ眠れないだけの臆病者だ」
四本目を打つ。
「誰が命じた」
棺の内側から、はっきりした声が返る。
「私の長男だ」
長男が短剣を抜く前に衛兵が押さえた。喪服の人々が道を空け、棺の火は消された。証言は全員が聞いた。ウォルネの部下たちは救われる。
その代わり、ヘズランの瞼が根元から薄く剥がれ、二枚の枯れ葉のように床へ落ちた。
誰かが布を巻こうとしたが、彼は首を振った。目を覆えば闇にはなる。だが眠りは来ない。
棺の磨かれた金具に、赤く乾いた目を持つ男が映っている。ヘズランはその顔を自分だと理解するまで、しばらくかかった。
葬送が終わり、皆が家へ戻ったあとも、彼だけは棺のそばに座っていた。
夜が深くなるほど、参列者の名も事件の順序も鮮明になった。忘れるための眠りを失った頭では、勝利の瞬間さえ、永遠に閉じない傷として見え続けた。