五人目の隊長
真崎ゴウのパーティは四人で満員だった。
《パーティ上限:4》
上限を超える招待は送信できません。
迷宮の崩落が迫る中、案内NPCフィンカだけが扉の暗号を知っている。だがパーティ外の彼女には回復も共有マップも届かず、罠でHPを削られていた。
「誰か抜けろ!」
誰も動かない。離脱すれば報酬権を失う。ゴウは自分の名前を押し、《パーティ脱退》を選んだ。
三人になった瞬間、フィンカへ招待を送る。
《NPCはパーティに参加できません》
灰色の通知。フィンカはそれを見て、苦く笑った。
「私はいつも、五人目なのですね」
天井が落ちる。ゴウが彼女を庇い、二人だけ通路の反対側へ分断された。元の仲間からは「役立たずを捨てて戻れ」と通信が飛ぶ。
そのとき、ゴウの画面へ見慣れない窓が開いた。
《フィンカからパーティ招待が届きました》
[参加する]
「どうやった?」
「あなたが抜けるのを見て、パーティは入れてもらうものではなく、作るものだと知りました」
フィンカの名前の横に、金色の隊長印がある。NPCには表示されないはずの印だ。
ゴウが参加すると、共有マップが開く。フィンカは自分の記憶から隠し通路を描き、崩落の外へ走った。途中で救助した敵NPCや罠師まで、彼女は次々招待する。四人になるたび誰かを追放するのではなく、新しい隊を作らせ、連結した。
迷宮の出口で、元の攻略隊がボスへ全滅しかけている。フィンカは彼らにも招待を送った。
《連合隊長:フィンカ》
《所属パーティ数:27》
「五人目」はいなかった。四人の枠を絶対だと思った者だけが、誰かを余らせていた。
《迷宮攻略クエスト達成》
《NPCによるパーティ作成を確認》
元の仲間三人も、報酬権を失う恐怖より全滅を選ぶところだった。フィンカの招待を受けると、彼らの古いパーティ名は消えず、連合の一部として残った。
「枠を壊す必要はありません」と彼女は言う。「枠同士を、つなげればいいんです」
その発想は攻略情報のどこにもなかった。
《隊長権限を種別“プレイヤー”から、種別“他者を仲間として選んだ者”へ拡張します》