四隅のうち二つ
日曜の十九時、洗ったシーツはベッドの上で大きな白い山になっていた。
朝、勢いで剥がして洗濯機に入れたところまではよかった。昼には乾き、夕方には取り込んだ。そこで日曜日の元気が尽きた。
マットレスには何もかかっていない。今夜眠るためには、ボックスシーツの四隅をそれぞれ引っぱり、角へかぶせなければならない。文章にすれば一行なのに、一人でやると、こちらを入れれば向こうが外れる。
私は一つ目の角をかぶせた。二つ目も入った。三つ目へ回ったところで、一つ目が弾けるように外れた。
「もう」
声にすると、部屋が思ったより静かなことに気づいた。誰かと暮らしていれば、反対側を持ってもらえるのだろうか。それとも、二人でもシーツには腹を立てるのだろうか。
一人暮らしを始めたころは、ベッドを整えるだけで生活が完成すると思っていた。朝に布団を直し、夜は白いシーツへ戻る。けれど現実のベッドは、脱いだ服を受け止め、郵便物を広げ、休日には食卓にもなる。
もう一度、一つ目。二つ目。三つ目。今度は二つ目が外れた。汗をかくほどではないのに、首の後ろが熱くなった。
私は床に座り、スマートフォンで「ボックスシーツ 一人 簡単」と検索した。動画の人は、マットレスを軽々持ち上げ、手際よく四隅を収めていた。再生時間は四十三秒だった。コメント欄には「簡単でした」と並んでいた。私は四十三秒の動画を二回見て、何も簡単にならない自分に疲れた。
画面を閉じる。
シーツを広げ、頭側の二つの角だけにかぶせた。足側は、ただ上から垂らした。ぴんと張ってはいないし、寝返りを打てばずれるだろう。
それでも横になると、洗剤の匂いがした。頬に触れる布は乾いていて、朝まで眠るには十分だった。枕カバーだけは新しいものに替えた。
足元の二つの角は自由なまま、床へ少し垂れている。私はそこを直さず、布団をかぶった。
暮らしの四隅を、毎回きっちり留めなくてもいい。今夜は二つ留まっている。それでベッドは、ちゃんと私を乗せていた。