『二人目の内定者』

インターン最終面接で、上遠野志帆と諸星大地は同じ企画書を提出した。駅の忘れ物を地域の福祉施設で再生する企画。題名も図表も、一字一句同じだった。

面接官の矢代灯は二人を同じ部屋に座らせた。

「どちらが盗んだのか、この場で確認します」

大地が先に口を開いた。

「僕が作りました。上遠野さんは共有作業中に閲覧できたはずです」

志帆は首を振った。

「共有したのは昨日が初めてです」

大地は自分のパソコンを示した。ファイルの作成日は三週間前、志帆のものは昨日。日付だけ見れば決着している。大地は余裕を見せ、面接官へ紙のコピーまで配った。だが紙の右下には、志帆のプリンターが付ける微細な管理番号が残っていた。大地の配布資料は、その番号まで拡大コピーしていた。

矢代は大学の課題提出システムを開いた。企業連携授業のため、本人たちの許可を得て履歴を確認できる。志帆は一か月前、同じ企画の概要を提出していた。大地の提出は空欄だった。

「概要を見て発展させたんです。共同授業だから問題ないでしょう」

大地は言い換えた。

「では、完成版を入手した経路は」

矢代が共有フォルダのアクセス履歴を映す。昨日午前十一時、志帆が面接用フォルダへアップロード。十一時四分、大地のアカウントが開き、十一時六分にダウンロード。その後、自分のパソコンの時計を三週間前へ変更して保存していたことが、端末管理ログに残っていた。

大地は顔を赤くした。

「パソコンの時刻が狂っていただけです」

「なら、なぜ同じ誤植まであるんですか」

志帆が二十ページ目を開いた。「再生費用」の下に白文字で小さく『複製確認用・KS』と入っている。彼女が盗用検知のため昨日だけ埋めた印だった。

矢代は二枚の評価票を重ね、大地の「内定」に斜線を引いた。

「諸星さんの内定を取り消します。上遠野さんには、盗用確認のため保留していた内定を正式に出します」