片面だけ焦がす餃子
呪具修理工ネックルは、餃子の焼き目をじっと見た。
片面は濃い狐色で、薄い羽までついている。裏返せば、上側は白く柔らかい。同じ一個の中に、仕上がりの違う面があることが気になった。
「均等に焼かないのか」
「下は焼いて、上は蒸します」
「統一されていない」
「そこがおいしいんです」
町中華「火輪」の店主は、酢と醤油と辣油の小瓶を並べた。
ネックルの工房には、今日、修理を終えた護符が一つある。割れた石を新しい銀線でつないだため、継ぎ目がはっきり見える。効力は戻っている。それでも客に「元通りではない」と言われるのが怖く、完成の連絡をできずにいた。
箸で餃子を持つと、焼けた底がかりっと鳴った。噛んだ瞬間、薄い皮の内側から肉汁があふれ、豚肉、韮、生姜、にんにくの香りが広がる。上側の皮はもちもちし、焦げた面と交互に歯へ触れた。
「片面が柔らかいから、焦げが強すぎないのか」
「両方あるから餃子です」
ネックルは酢を多めに、辣油を一滴だけ入れた。二個目は酸味が利き、油っぽさがすっと消える。
皿の餃子には、閉じたひだが一つずつ残っていた。中身を包んだ跡を、隠そうとしていない。
「修理した跡が見える道具は、未完成だと思うか」
店主は次の餃子を包みながら答えた。
「直したから見える跡なら、その道具が働いた証拠じゃないですか」
「美しくない」
「このひだも、全部同じじゃありませんよ」
見ると、確かに一つは細かく、一つは大きく歪んでいる。だが焼けば、どれも同じ香ばしい匂いを立てた。
ネックルは工房の伝書石を取り出した。
〈護符は完成。銀の継ぎ目が残ります。効力は以前と同じです。明日、明るいところで一緒に確認してください〉
送信すると、すぐに〈楽しみにしています〉と返った。
最後の餃子を食べ、皿の羽まで箸で割って口へ運ぶ。薄く焦げた小麦の味がした。
店を出ても、指先にはにんにくと胡麻油の匂いが残っていた。ネックルはそれを隠さず、銀線の光る工房へ戻った。