血を運ぶ聖像
雨の大通りを、泣く聖女像が進んでいた。
石の頬から落ちる赤い雫を病人が舐めると、傷が閉じる。司教は壇上から「聖女の血だ」と叫び、一滴ごとに献金を受け取っていた。
担ぎ手ペルノは、肩に食い込む棒の先が釘になっていることを知っていた。聖女像は奇跡を起こすたび、四本の担ぎ棒から同量の血を吸う。豪華な垂れ幕の内側には、鎖で固定された囚人が一人ずつ隠されていた。
今朝、その一人に妹ティアネが選ばれた。
彼女は献金箱からパンを盗んだだけだった。
行列が貴族街へ曲がる角で、ペルノは幕を裂いた。青ざめた妹の肩から釘を抜き、他の囚人の鎖も切る。
「止めろ!」と司祭たちが叫ぶ。
ペルノは四本の棒を縄で束ね、自分の背へ担いだ。
像は一人では持ち上がらない重さのはずだった。だが彼は膝を震わせながら立ち、行列を反対へ向けた。献金を払えず封鎖された病人街へ。
最初の角を曲がると、石の頬から血が流れた。道端の兵士がそれを傷へ塗り、千切れた肉がつながる。
同じ量が、ペルノの肩から吸われた。
二人目、三人目。像が泣くたび、彼の唇から色が消える。雨水へ落ちる足跡が赤くなる。
司教は馬で追いつき、「奇跡を盗む者は異端だ」と宣告した。
ペルノは笑った。
「なら、幕を上げて聖女の顔を見せてください」
ティアネと囚人たちが行列の後ろで、破れた垂れ幕と血まみれの拘束具を掲げていた。群衆の怒号が司教の説教を飲み込む。
それでも病人は道の先に続く。
ペルノは歩いた。目が霞み、指が冷え、心臓が空の桶を叩くような音を立てる。最後に、熱で動かない子どもの前へ像を下ろした。
赤い一滴が子どもの唇へ落ちた。
子どもが息を吸う。
同時にペルノの身体から、最後の赤が抜けた。
像を支えきれず、石畳へ落とす。台座が割れ、中から血を吸い上げる銀管と、歴代の囚人名を刻んだ骨札が散った。
群衆が司教を取り囲む。
ティアネは兄を抱き起こした。彼の身体は軽く、冷たく、磨いた石灰のように真っ白だった。唇にも瞼にも、一滴の色さえない。
聖女像はもう泣かなかった。
代わりに雨の中で、血を失った兄の白い顔だけが、教会の奇跡が何でできていたかを語っていた。