鎖を外した寄宿舎

開拓刑地には、罪人の子どもが九人いた。親が坑道へ送られると、子どもは鉄柵付きの旧監視舎に集められ、夜は外から鎖を掛けられた。

新監督官バルバトは鎖を見て言った。

「これは住居ではなく牢だ」

しかし役人は、逃亡と費用を理由に反対した。そこで彼は、鉱石の産出税を一律で上げず、精錬後に売れた鉄百斤につき一斤を共同基金へ納める方式を提案した。掘った量ではなく、利益になった分だけ。基金の支出先は寄宿舎、防護具、坑道事故の遺族支援の三つ。毎月、囚人代表、職人代表、役人の三者が帳簿へ封印を押す。

「監督官用の剣も、この地の鉄だ」

バルバトは剣を秤へ載せた。

「売買ではないが、市価換算して私が払う」

囚人たちは疑った。だが最初の月、集まった鉄と銀貨が本当に寝台と窓へ変わると、自分から動き始めた。石工は壁を抜いて非常口を作り、元盗賊は内側からしか開かない錠を組み、料理人は子どもごとの食物禁忌を一覧にした。

少女ダナが鎖を指した。

「これはどうするの?」

「溶かして釘にする」

役人が答えると、彼女は首を振った。

「また誰かを閉じ込める形になる。見えるところに置いて」

鎖は溶かさず、玄関の上へ吊るされた。規則も変わった。門限を過ぎた子は事情を話すが、寝床を取り上げられない。親の罪名を部屋札へ書かない。面会日は子どもが選べる。

子ども会は週に一度開かれ、食事や面会、消灯時間を変える提案権を持った。最初の議題は「看守」という呼び名を「夜番」へ変えることだった。選ばれた元兵士は照れながら新しい腕章を巻き、武器ではなく予備の毛布を持って廊下に座った。親から届く手紙も検閲せず、本人が望む時だけ大人と一緒に読む。返事を書かない自由も規則へ加えた。

入居の夜、バルバトは最後に外へ出た。いつもの看守が鎖を持ち上げ、しばらく迷ってから地面へ置く。

ダナが内側から扉を閉めた。

かちり、と小さな鍵の音がした。

誰かを閉じ込める音ではなく、住人が自分の家を守る音だった。