風車が一度だけ回る日

技師テオバルトが左遷された農地には、羽根の折れた風車が立っていた。

王都で彼が提案した小型風車は、「大水車ほど威厳がない」と却下された。皮肉にも与えられたのは、水路すらない丘の捨て地だった。

初日、彼は畑ではなく風車小屋へ入った。

歯車の一本が欠けている。全部を作り直す木材はない。テオバルトは屋敷跡の梨材を切り、欠けた形に合わせて小さな歯を削った。

厚すぎれば噛み、薄すぎれば折れる。

何度も当て、削り、蝋を塗る。最初に削った歯は、ほんの爪一枚ぶん厚かった。軸を回すと隣の歯へ噛み、乾いた音を立てて止まった。テオバルトは舌打ちせず、梨材を抜いて窓辺の光へ透かした。木目の向きまで読んで薄く削り直す。二度目は滑らかに通ったが、先端が触れる。三度目、古い歯車全体が長い眠りから目覚めるように、静かに連なって動いた。彼はその音を聞くため、しばらく手を離さなかった。

夕暮れ前、木槌で最後まで打ち込むと、歯車は指一本で半回転した。

「それで十分だ」

外へ出て、残っていた羽根を風上へ向ける。

丘を渡る風が一度だけ強く吹いた。

ぎ、と軸が鳴る。大きな羽根がゆっくり動き、歯車が噛み合い、石臼が一周した。受け箱へ、挽いたライ麦粉が白い線になって落ちる。

そこへ王都技師組合の検査官が来た。

「違法改造の風車を使っていると通報があった。設計図を提出しろ」

テオバルトは受け箱の粉を量った。

ちょうど一食分。

「設計図はありません。現物を見れば分かります」

「組合の承認なしに稼働させれば罰金だ」

再び風が吹く前に、検査官の腹が鳴った。

テオバルトは粉へ卵と山羊乳を混ぜ、鉄板へ流した。生地がじゅうっと広がり、縁から色づく。蜂蜜を一筋垂らすと、甘い香りが風車小屋に満ちた。

「罰金の話を続けるか」とテオバルトは問うた。「一周分だけ味見してからにするか」

検査官は帽子を脱いだ。

風車はその日、一度しか回らなかった。

けれどテオバルトの皿には、自分の機械が挽いた粉で焼いた最初の一枚が、湯気を上げて載っていた。