月曜日の恋人

月曜の朝になると、彼女は恋人と過ごした一週間だけを忘れた。

仕事も家族も覚えている。

けれど、先週一緒に見た映画も、日曜の喧嘩も、彼からもらった花も消える。

最初の月曜、彼女は隣で眠る彼を見て悲鳴を上げた。

説明し、写真とメッセージを見せ、ようやく信じてもらった。

次の週から、彼は記録を作った。

月曜から日曜までの出来事。

彼女が笑った言葉。

好きだと言った回数。

喧嘩した理由と、仲直りの仕方。

毎週月曜、彼女はそれを読んだ。

「私はあなたを好きだったみたい」

過去形で言われるたび、彼の胸は痛んだ。

彼は一週間を完璧にしようとした。

忘れられる前に旅行し、贈り物をし、日曜には必ず優しく別れた。

喧嘩を避け、嫌な顔を見せない。

次の彼女へ、きれいな記録だけ渡したかった。

半年後、彼女が日曜の夜に言った。

「あなた、私といるとき楽しそうじゃない」

「明日忘れるから」

「だから?」

「つらい記憶を残したくない」

彼女は怒った。

「忘れるのは私で、あなたじゃないでしょう」

その喧嘩は記録へ書かなかった。

月曜の朝、彼女はまた彼を知らなかった。

彼は写真を見せず、

「一週間だけ一緒に暮らしていた人です」

と名乗った。

彼女は警戒しながらコーヒーを淹れた。

無意識に彼の分だけ砂糖を入れない。

「なぜ分かった?」

「何が」

彼は笑った。

体は習慣を少し残すらしい。

その週、彼は完璧に振る舞わなかった。

疲れたと言い、夕食を失敗し、彼女の無神経な言葉へ腹を立てた。

彼女も怒り、二人で話し、土曜にようやく笑った。

日曜、彼女は自分で記録を書いた。

「今週の私は、この人を好きになった。来週の私は、好きにならなくてもよい。ただ、一度ちゃんと話してみてください」

月曜の彼女はそれを読み、彼へ尋ねた。

「毎週、私に選ばせるの?」

「できれば」

「面倒」

「知ってる」

彼女はその週も彼を選んだ。

選ばない週も一度あった。

実家へ帰り、三日間連絡しなかった。

木曜に自分から戻ってきた。

二人は結婚の約束を急がなかった。

月曜ごとに初対面になり、日曜ごとに別れの準備をした。

それでも同じ食器が増え、同じ家賃を払い、冷蔵庫の癖を二人の体が覚えた。

愛は記憶の長さではなかった。

忘れた人がまた選び、覚えている人も選び直す、その面倒な一週間を重ねることだった。