石になる音

パージャの石化は胸まで達していた。

円形の祭室で、彼女は翼を持つ獣の姿のまま膝をついている。魔物の心臓を砕いた返り呪いだった。夜明けの鐘までに全身が石になれば、中にいた獣だけが目を覚ます。

ニエルは祭壇から骨笛を取った。

「吹くな」石の唇をかろうじて動かし、パージャが言う。「音一つにつき、石が奏者へ移る」

「全部で?」

「七音」

ニエルは笛を口へ当てた。

一音目は低く、墓穴を掘る音に似ていた。パージャの右足から石が剥がれ、ニエルの右足首が灰色に固まる。

二音目で左足。三音目で両腕。笛を支える指が石になり、関節が曲がらなくなった。彼は手首だけで笛を押さえ直す。

四音目。パージャの腹に人の肌が戻り、ニエルの腰が床へ固定された。石は冷たいはずなのに、内部では焼けた砂が詰まったように熱い。笛から口を離せば、移した石は倍になってパージャへ戻る。ニエルは歯の隙間から血を流しながら、息継ぎすら一つの音へ繋げた。

五音目で胸が石になる。鼓動が岩の内側から響き、ひどく遠い。

パージャはもう人の顔へ戻っていた。残るのは背中の翼と、額の角だけ。

「やめて。私は歩ける。角くらい隠せる」

ニエルは返事をしようとしたが、六音目を吹いた唇から石化が広がり、顎まで固まった。パージャの翼が砕け、白い肩が現れる。

最後の角は黒く光り、獣の瞳を開きかけている。七音目には、奏者の頭まで石にする力があった。

ニエルは動かない指の間で笛を傾け、残った息をすべて送り込んだ。

高い音が祭室を一周した。

パージャの角が粉になった。彼女は人の身体で床へ倒れ、すぐに這ってニエルへ近づいた。

そこには骨笛をくわえた石像が座っていた。驚くほど穏やかな顔で、眼球まで白い石に変わっている。

「ニエル、聞こえる?」

石像は動かない。

彼女が胸へ耳を当てると、七つの音が岩の奥で繰り返されていた。だが最後の一音ごとに、石の顔から少しずつ人の輪郭が削れ落ちる。

朝の鐘が鳴るころ、そこに残ったのは、誰を写したとも分からない無名の像だった。パージャだけが、その硬い手を仲間の手として握り続けた。