薪の山を半分にしない
北街道が雪崩で閉じ、避難民七十人が炭森村に取り残された。
問題は寝床より薪だった。村の備蓄は、住民だけなら春まで持つ。半分を避難民へ渡せば、どちらも凍えると炭焼き衆は言った。
村長代理サーシャは、薪山を二つに分けなかった。
薪は太さが違うため、サーシャは一本ではなく腕幅で量る木枠を作らせた。細枝だけを押しつける家も、太い丸太だけを囲う家も出ない。
家族一人につき一日二枠分。乳児と病人のいる家は一晩一束追加。まず十四日分を全戸へ配り、それを超える備蓄だけ十枠につき一枠を共同薪舎へ。出身ではなく人数で木札を切る。売買する薪にも同じ率を課し、集めた枠数は毎晩、鐘楼へ掲げる。
「働かぬ者にも薪をやるのか」
炭焼き頭が問う。
「凍えない最低分は渡します。伐採や運搬に出た者には、その上で作業札を出す。札は追加の薪か食料と交換できる。命を参加料にはしません」
共同薪舎の錠前は、炭焼き衆と避難民から選ばれた二人が一つずつ鍵を持った。配給のたび両方が立ち会い、残量の札へ印を押す。
避難民の中には老女も幼子もいる。
だから若者たちが先に橇を組んだ。村人は森の安全な区画を教え、鍛冶屋は刃を研いだ。働けない老女は自分から薪束の縄をない、子どもは枠札を数えた。作業札を受け取らず、ただ話し相手になる者もいた。誰も役に立つことを強制されなかったのに、薪舎は日に日に満ちた。
炭焼き頭は、自宅の裏に隠していた二十枠分を持ってきた。
「十四日分を数えたら、これは余りだった」
サーシャは責めず、掲示板に二枠と記した。
十枠につき一枠。それ以上は取らない。
街道が開く前夜、吹雪が村を包んだ。
各家へ配られた薪は同じ長さで、避難民の仮小屋にも村人の石家にも、同じ時刻に火が入った。
高台から見ると、煙は古い屋根と新しい屋根を区別せず、一本の雲になった。
鐘楼の板には、その日の残数が大きく書かれていた。
『共同薪、春まであと二十三日分』
その下へ炭焼き頭が、自分の字で付け足した。
『明朝、希望者で二十四日目を取りに行く』