鉄喰い竜の乳歯

鉱山の坑道で、鉄喰い竜の幼子が発見された。

作業員たちは、梁も道具も食われると恐れた。幼竜が近づくつるはしへ噛みつくたび、監督は討伐隊を呼べと叫ぶ。

鉱石選別をしていたマイラは、噛みついたあとの顔を見逃さなかった。

女は坑道の奥へ入るなと言われ、十年、入口で石だけを選ってきた。そのぶん彼女は、鉄が割れる音と、歯が痛くて金属を噛む音の違いを知っていた。

幼竜は必ず左へ首を振り、前足で口を押さえる。食べたいのではなく、何かを取ろうとしている。鉄粉の匂いに慣れた彼女が近づくと、半開きの口の奥に錆びた釘が見えた。抜けかけの乳歯と新しい牙の間へ、曲がった釘が挟まっている。

「道具を壊してるんじゃない。道具を使って、自分で外そうとしてたんだ」

「娘が坑道仕事へ口を出すな」と監督が吐き捨てる。

マイラは選別用の細い火箸を持ち、幼竜の前へ座った。自分の口を開け、火箸を見せ、すぐ閉じる。次に布へ包んだ鉄鉱石を差し出すと、幼竜はそれを噛んで口を開けたままにした。

震える火箸を差し入れる。

火箸の先で釘をつかみ、乳歯を傷つけない角度へ少しずつ回す。錆の粉が舌へ落ちないよう、下には濡らした布を添えた。幼竜の喉が低く鳴った。監督が逃げた。マイラは手を止めず、一息で引き抜いた。

からん、と釘が落ちる。続いて小さな乳歯も抜け、マイラの掌へ転がった。幼竜は痛みが消えた驚きで目を丸くし、火箸ではなく彼女の顔を初めてまっすぐ見た。

幼竜は何度か口を開閉し、痛みが消えたことを確かめた。そして監督が放り出した鉄杯を口へ入れ、表面をひと噛みした。ぱりぱり。今度は気持ちよさそうに錆だけを食べ、杯本体はきれいな銀色になって残る。

作業員たちから歓声が上がった。鉄製道具の錆を食べる幼竜は、鉱山にとって災厄どころか守り神だ。

マイラが釘を拾おうとすると、幼竜はその手へ顎を載せた。黒鉄色の頬は炉のそばの石ほど温かく、見た目以上に密な重さが、細い腕をゆっくり下へ押した。