七つ目の結び目
崖城の吊橋前で、ワマン・チュキは投石紐の結び目を数えた。
一つ目は指を掛ける輪。二つ目から六つ目までは長さの目印。七つ目は、亡き山王の軍で遠投兵だけが作った止め結びだった。
向かいのサイリ・ユパンの紐にも、同じ七つ目がある。
二人は山王の死後、それぞれ別の谷で雇われた。ワマンは塩運びの護衛となり、サイリは徴税人の用心棒になった。谷を越えるたび敵として顔を合わせたが、互いへ石を投げたことはない。主のない同郷人を殺せば、帰れる村がもう一つ減るからだ。今夜、崖城は包囲を破る。敵の盾列へ石を落とす投石頭は一人でよい。城将は二人へ丸盾を持たせた。盾は乾いた葦と薄板を重ねただけで、正面から石を受ければ骨まで響く。負けた者が生き残っても、砕けた腕では谷を下れない。城将は医者も用意しなかった。勝負の後に要るのは一人だけだからだ。吊橋の向こうでは夜襲隊が待ち、風に煽られる松明が一列に揺れていた。決闘が長引けば、敵にも数を読まれる。
「互いの盾を先に割れ。石は三つ」
薄い空気の中、第一投が放たれた。サイリの石はワマンの盾の縁を砕く。ワマンの石は肩幅一つ外れた。
「腕が鈍ったな」
サイリが笑った。
ワマンは返事をせず、自分の紐を七つ目の手前で切った。城兵がざわめく。長さを捨てれば、石の勢いも距離も落ちる。
第二投。サイリは一歩前へ出て、さらに強く振った。ワマンの短い紐は、石を遠くへ送らない。代わりに回転が速く、手元へ戻るのも早い。
サイリの石が飛ぶより先に、ワマンの石が彼の盾中央へ当たった。革が裂ける。だが木板はまだ残った。
サイリは最後の石を紐へ入れ、勝ちを急いだ。長い紐を大きく回すため、腕が背後へ流れる。
ワマンは石を使わなかった。
短くした紐を鞭のように走らせ、七つ目の切り口でサイリの手首を打つ。握りが開き、最後の石が崖下へ落ちた。ワマンは自分の三つ目を盾へ投げ、木板を割った。
「投石の勝負だぞ」
サイリが言った。
「紐も武器だ。石だけ雇うなら、河原へ給金を払え」
城将は笑いも怒りもせず、橋番へ赤い組紐を見せた。
谷を隔てた吊橋が、軋みながら下ろされた。