三日間の休業札

檜山瑞希のオンラインショップは、眠っている間にも開いている。

樹脂と金具で小さな耳飾りを作り、注文を受けてから一つずつ仕上げる。会社員を辞めて始めた店は二年目に軌道へ乗った。注文通知が鳴るたび嬉しかった。だから発送予定を短くし、問い合わせには一時間以内で返し、休日の表示を一度も出さなかった。

売れない怖さは、売れるようになっても消えなかった。

春の新作が紹介記事に載った一週間後、瑞希の作業机には発送待ちの箱が二十八個並んだ。透明な樹脂の匂いで頭が重く、右手の親指は曲げるたび痛んだ。それでも注文画面の緑色の数字を見ると、休むほうが間違いに思えた。

金曜の夜、金具を一つ落とした。床へしゃがんだまま、瑞希は立てなくなった。泣きたいわけではない。ただ、拾って机へ戻る順番が分からなかった。

画面には、新しい注文が入っていた。

瑞希は商品ページの編集欄を開く。休業設定の日付を選ぶと、《販売機会が減る可能性があります》という注意が出た。

三日。

長すぎる気がして二日に変え、二日では疲れが取れないと考えて四日にし、怖くなってまた三日に戻した。

お知らせ欄へ、長い謝罪文を書いた。体調管理が至らず、楽しみにしてくださる皆様へ、今後このようなことがないよう――。

途中で全部消した。

《制作と発送を三日間お休みします。現在のご注文は、記載済みの日程で発送します》

それだけを載せ、休業ボタンを押した。

店のページから購入ボタンが消えた。作品の写真は並んでいるのに、誰も買えない。商店街で自分の店だけシャッターを下ろしたようだった。

瑞希は落とした金具を拾い、箱へ戻した。残っている注文を今夜中に仕上げようと椅子へ座りかけ、やめた。発送日はまだ先だった。

作業灯を消すと、机の上の樹脂は色を失った。

三日で何かが治るとは思わない。売上が戻る保証もない。親指の痛みも、明日には残っているだろう。

それでも瑞希は、店が閉まっている画面を一度だけ確かめ、スマートフォンを伏せた。

購入できない夜が、初めて彼女の手元に売れ残った。