四番が消えた
デスゲーム風の謎解きイベントへ集まった七人には、番号札が配られた。
一番、二番、三番、五番、六番、七番、八番。
四番だけがいない。
司会者は無表情に言った。
「全員そろいました。これより開始します」
参加者たちは空席を見た。
「四番は?」
司会者は答えない。
「開始前に消された?」
「最初の犠牲者を見せない演出」
「私たちが来る前に何かあった」
「入口に赤い染みが」
「非常用ペンキと書いてあった」
「そう書くことで隠している」
七人は自己紹介より先に、四番の人物像を推理し始めた。
「靴箱が一つ空いていた」
「四番の靴だけ処分された」
「傘立てに透明傘が残っている」
「四番の遺品?」
「コンビニ傘を遺品扱いするな」
司会者が封筒を配る。
「この中に一人、裏切り者がいます」
三番が言う。
「四番を消した人物だ」
六番が反論する。
「四番自身が裏切り者で、逃げた可能性」
一番が机を叩く。
「番号を飛ばしたのは、四という数字が死を意味するから」
五番が青ざめる。
「次は五。私が狙われる」
「連番なら全員順番に狙われる」
「八番まで時間がない!」
ルール説明中も疑念は止まらない。
「司会者が“全員そろった”と言った。四番は人間ではない」
「監視カメラ?」
「この部屋そのもの?」
「四方の壁の“四”かも」
「壁を一枚壊せば脱出?」
司会者が初めて慌てた。
「施設を壊さないでください」
一番が司会者へ詰め寄る。
「四番をどこへやった」
「何のことです」
「番号札を見ろ!」
司会者は七人の胸元を確認し、受付の箱を開けた。
中から、紙詰まりで折れ曲がった番号札が一枚出てきた。
〈4〉
「プリンターから出てこなかったので、欠番にして七名へ配っただけです。参加者は最初から七名です」
七人は空席を見る。
「では、赤い染みは?」
「案内板の塗装」
「透明傘は?」
「私のです」と司会者。
司会者は折れた札を三番と五番の間へ置いた。
「これで全員です」
七人は、誰も座っていない椅子へ一応拍手した。
最初に消えた四番は、人ではなく印刷物だった。