白い皿の継ぎ目

城戸文乃が外出を許された一日に受け取りたかったのは、白い皿一枚だった。

同居している友人と二枚ずつ買った、縁の薄いカレー皿。その一枚を、文乃が朝食のトーストを載せたまま落とした。皿は真っ二つにはならず、縁から中心へ細い亀裂が走った。捨てようとすると、友人は近所の器修理店へ持ち込んだ。

金継ぎにすればきれいだと店主は言ったが、文乃は金色を断った。特別な皿にしたくなかった。電子レンジでも使える白い樹脂で、できるだけ目立たなく直してほしい。それが一か月前だった。

店までは病院からタクシーで十分。文乃は引換票を何度も確かめた。戻る予定の午後三時より前に、息苦しさが出たら中止するよう言われている。皿一枚のために、と看護師は言わなかった。ただ、緊急連絡先を書いた紙を鞄の外ポケットへ入れてくれた。

修理店の棚には、欠けた湯のみや取っ手のないカップが並んでいた。店主は奥から白い箱を出し、薄紙を開いた。

亀裂は消えていなかった。光へ傾けると、細い線が水面のように見える。

「完全には同じになりません」

「分かるくらいでいいです」

文乃は指で継ぎ目をなぞった。表面は平らで、爪が引っかからない。店主は熱いものを急に入れないこと、食洗機を避けることを説明した。文乃は覚える代わりに、箱の蓋へ書いてもらった。自分が使い方を守る期間より、友人が使う期間のほうが長い。

帰宅すると、友人はオンライン会議中だった。文乃は手を振るだけにし、台所で皿を箱から出した。食器棚には同じ皿が三枚重なっている。一番上が友人の朝食用で、中央の一枚だけ縁に青い点がある。

修理した皿をどこへ置くか迷った。目立つ上でも、避けられる下でもない場所がよかった。三枚を一度取り出し、布巾で棚の埃を拭く。割れた日に飛んだ小さな白い欠片が、奥から一つ出てきた。文乃はそれを捨てた。

同じ皿を二枚置き、修理した一枚をその上へ重ねる。最後の一枚を戻すと、継ぎ目は皿どうしの間へ隠れた。

文乃は四枚の縁を指でそろえた。白い円が一つの高さになり、食器棚の扉を閉めた。