罪を継ぐ王

決闘裁判の鐘が鳴り、バルザムは大司祭の胸から剣を抜いた。

「勝者、正しき者なり」

書記官が宣言する。

傍聴席から歓声が上がった。地下牢に売られた子どもたちの名簿は本物だと認められ、扉が開かれる。従者ヤネスは安堵して壇上へ駆けたが、バルザムの皮膚を見て足を止めた。

大司祭の罪が、黒い文字となって彼の首から顔へ這い上がっていた。

バルザムの剣《継罪》は、悪人に勝てばその者の罪と記憶を引き受ける。代わりに、次の戦いで相手の弱点をすべて知ることができる。だが勝つたび、自分の中の道徳が一枚ずつ剥がれる。

最初は盗賊の飢えを理解した。次は拷問官の快楽を知った。十人目を斬ったころには、悪を憎む気持ちと悪を試したい気持ちの境が曖昧になっていた。

今回、大司祭の記憶はあまりに鮮明だった。

泣く子どもを値踏みした指。祈りの途中で毒を盛った杯。赦しを求める者の舌を切った感触。

それらが自分の過去のように馴染んでいく。

「陛下、名簿を民へ」

ヤネスが巻物を差し出す。

バルザムは受け取った。焼けば、子どもたちを買った貴族の名を隠せる。その見返りにどれほど金が集まるか、瞬時に計算できた。

以前の自分なら吐き気を覚えたはずだ。

今は合理的だと思った。

彼は燭台へ巻物を近づける。ヤネスが手首を掴んだ。

「あなたはそのために戦ったのではない」

「私は何のために戦った」

「罪を暴くためです」

バルザムは顔の文字を指でなぞった。そこには大司祭の署名が浮かんでいる。鏡を見ると、眉の形も口元も、死体と同じになり始めていた。

彼は巻物をヤネスへ渡した。

「民へ読め。今すぐ」

「では陛下は」

バルザムは剣を床へ置き、勝者の玉座ではなく被告席へ座った。

「私を拘束しろ。次に正しい判断ができる保証がない」

兵がためらう。

「早くしろ。私は今、あの子どもたちをもう一度売る方法を三つ思いついた」

枷が両手へ掛けられる。

書記官が名を問うと、バルザムの口から大司祭の名が出た。訂正しようとしたが、自分の名が思い出せない。

黒い罪文字は顔を覆い、勝者と敗者を同じ一人に書き換えていた。